とにかく切ない、物言わぬおじいさんの物語。
「とにかく切ないものが好き」と語るのは、かき氷屋さんの店長であり話題のバンド「ねこね、こねこね。」のメンバーという異色のプロフィールを持つ、むらまつえりかさん。前回の『ソルファ』に続くおすすめは、珠玉の短編アニメーション『つみきのいえ』です。その魅力は…?
わずか12分の
名作アニメーション
むらまつえりか:『つみきのいえ』はショート・フィルムですね。映画というか、本当に短い作品で、アカデミー短編アニメ賞とかも受賞していて。すごく良い作品だなと思います。
おすすめポイントは、一切言葉がない無声の短編アニメなんですけど、何も言わないのにおじいさんの心情がすごい伝わってくるところ。
絵がすごくキレイでかわいいので、たぶん子どもが観ても楽しいし、切ないストーリーなので大人が観ても楽しめると思います。とにかく絵がキレイで惚れ惚れしますね。
ⒸROBOT
むらまつ:このおじいさんの住んでる街は、どんどん増水して水没していってしまうんです。だから、浸水する前に家をどんどん高く作っていくっていう物語なんですけど。
で、おじいさんが大切なものを落としてしまって、それを探すために水の中に潜って過去に住んでいた家々を辿って、そこにいた家族とかの“思い出”に触れていくんです。そのストーリーが本当に切なくて…。
ⒸROBOT
小さいころから
“切ないもの”が好き
むらまつ:結構、小さいころから“切ないもの”が好きみたいで。哀しい、とはまた違って、切ないものを観ると…何て言えばいいのか難しいんですけど、すごく惹きつけられるんですよね。
――切なさに触れることで気持ちがリセットされたり、それによって次に向かえることって、ありますよね。
むらまつ:そうですね。寂しいだけでは終わらない、次につながるものがある切なさ、寂しさですかね。
栗コーダーカルテットの方がBGMを担当されていて、音楽もすごくステキなので、ぜひ聴いてみてほしいです。
Top illustration by ROBOT