【期間限定】ピクサーが今までになく暗い「大人向け3Dアニメ」を公開中。胸が締め付けられる…
ピクサーのアニメーター2名が、サイドプロジェクトとして作成した3Dアニメーションが期間限定でVimeoに公開されている。10月25日にFacebookへ投稿された彼らのコメントによると、あと一週間ほどしか見られないそうだ。今のうちにチェックしておこう。
同社の作品は、子ども向けにつくられたストーリーながら、大人がしみじみと考え込んでしまうような“社会の闇”を感じさせるものも多い。そして、本作で描かれる世界観は今まで以上に暗い。深く考えさせられる大人向けの内容だ。
『Borrowed Time(借りものの時間)』
主人公は保安官のバッジをつけた男性。西部劇によく出てくるようなマッチョでハンサムなキャラクターとは正反対で、無精髭を生やし、くたびれた様子の痩せた男だ。
崖の縁に、思い詰めた絶望的表情で立つ彼は、子供の頃に保安官だった父親を事故で亡くした。動画の説明にはこうある。
事故の記憶を忘れようと一歩ずつ歩みを進めるが、そのたびに“あの時のミス”が思い浮かぶ。彼は、その痛みを乗り越えるために強くならなければならない。
最後のシーンで、主人公は涙を流しながら親子の写真が入った懐中時計をぎゅっと胸元で握りしめる。忘れることができない過去とともに生き続けなければならない彼は、そのとき何を思ったのだろう。
捉え方は様々ある。家族を失うこと、銃社会の危険性、PTSDを表現していると捉える人もいるようだ。
「大人のアニメを作りたかった」。
制作したAndrew CoatsとLou Hamou-Lhadjは、一般的に子どもが見るものと捉えられているアニメに対するイメージを変え、大人向けの表現手法として可能性を提示したかったのだという。
作中に登場する人物やセリフは必要最低限に抑えられており数少ないが、映像表現の説得力は折り紙付きだ。物語の内容はとてもわかりやすく、主人公の感情がひしひしと伝わってくる。銃を手に握るシーンは、つい目を覆いたくなった。
メイキング動画には、技術的な背景が垣間見える絵コンテやCG制作画面もある。
短編として公開された本作だが、長編を作って欲しいという声もある。とはいえ、ふたりは5年間仕事の合間を縫ってこの制作に取り組んできた。次は何か別の新しいことをしたいとCartoon Brewのインタビューに答えている。
いずれにせよ、大人のピクサーアニメが新たに発表される日が楽しみだ。