今、この時代に私たちが聞きたい、岡本太郎の『強く生きる言葉』10選
『太陽の塔』、完全復活、目前。
耐震問題などが原因で、1970年に行われた日本万国博覧会(大阪万博)以降は限定的にしか公開されてこなかった『太陽の塔』内部。それが2018年3月、ついに補強工事を終えて「再生」を迎え、恒久的に公開されるようになる。また、それを記念し、現在岡本太郎記念館では企画展『太陽の塔 1967―2018―岡本太郎が問いかけたもの―』が開催されている。
大阪万博のシンボル、日本復興への期待、高度経済成長の証。巨大展示『太陽の塔』には、当時の空気や人々のエネルギー、いろいろなものを見ることができるが、それをプロデュースした岡本太郎自身はいったいどんな作家、いや、人間だったのか——って、もちろん「知ってるわ!」という人のほうが多いと思うんですが、せっかく『太陽の塔』がめでたく再生するんです。こんな現代に。
だから、太郎さん。
人間って何ですか。社会って何ですか。信念って何ですか。生きるって、いったい何なんですか。
ここでは、書籍『強く生きる言葉』から抜粋した10個の名言をもとに、岡本太郎に改めて迫ってみることにする。企画展に行く前に、そして来春『太陽の塔』を訪れる前に、今一度噛み締めてみてほしい。
01. 目的のない闘い
目的を持たないことが、“ぼくの目的”だった。
つまりね、限定された目的なんか持ちたくない。
いつも目的を超えて平気でいる。
そこから自分がひらけていく。
目的なんかない闘いだったが、
それだけが、ぼくが生を貫いていく筋だった。
02. 意志
意志を強くする方法なんてありはしない。
そんな余計なことを考えるな。
きみはほんとうは激しく生きたいんだよ。
だから、“死”が目の前に迫ってくる。
それはとても正常なことだ。
03. 信念
信念のためには、
たとえ敗れるとわかっていても、おのれを貫く、
そういう精神の高貴さがなくて、
何が人間ぞとぼくはいいたいんだ。
04. 思想
思想はほとんどの場合、社会の情勢とは悲劇的に対立する。
しかし、その対立で世界は充実していく。それが“思想”なんだよ。
ほんものの思想だったら、情況はどうあれ、
そんなにかんたんにコロコロと変わるものではないはずなんだ。
05. 大人
よく、大人たちは若者の気が知れないとか、だらしないとか、自分たちの時代のズレを、若い世代のほうにおっかぶせる。
未熟なら未熟なりに、成熟したら成熟したなりの顔をもって、精いっぱいに挑み、生きていけ。
大人たちからみた、道徳がないようにみえる若い世代にこそ、新しい今日の状態に即応した道徳が生まれなければならないのだ。
06. 矛盾
社会内の個。
純粋であればあるほど人生というものは悲劇だ。人間はすべて矛盾のなかに生きている。だから矛盾に絶望してしまったら負け、落ちこむのだ。それよりも、矛盾のなかで面白く生きようと、発想を転換することはできないだろうか。
07. 釘
誰もが、あえて出る釘になる決意をしなければ、時代はひらかれない。
08. 生活
ただ食えて、生命をつないでいるだけじゃ、辛いよ。たとえ生活の不安がなくても、毎日が実に空虚だし、実際、むなしい。何を自分はほんとうにやりたいのか。そうなってからじゃ、もう遅いんだなあ。
09. 社会
ぼくは全人間的に社会的な問題にも発言して、
絵はもちろん描くが、その他のことでも、
いろいろな問題とぶつかって日本で闘っていきたい。
10. 僕
ぼくはきみの心のなかに実在している。
疑う必要はいっさいないさ。そうだろ。
展覧会名
太陽の塔 1967―2018―岡本太郎が問いかけたもの―
会期
第1期:2017年10月13日(金)〜2018年2月18日(日)
第2期:2018年2月21日(水)〜5月27日(日)
会場
岡本太郎記念館
開館時間
10:00~18:00(最終入館17:30)
休館日
火曜日(祝日の場合は開館)
年末年始(12月28日~1月4日)
2018年2月19日(月)
※保守点検日あり
入場料
一般 620円