僕らが考えている今と未来③ 〜伊勢谷友介、瀬戸勝之、久志尚太郎〜

伊勢谷友介、瀬戸勝之、久志尚太郎によるこの鼎談もいよいよ最終回。


最後のテーマは、ずばり未来の話です。

「結局人間は、失敗から学ぶ生き物だからさ」

 

久志 vol.1で、伊勢谷さんは「私たちがいなくなったら地球が喜ぶんじゃないか」という結論はおかしい、プラネットBはないからこそ目的を持って生きなきゃいけないんだという認知革命の話をしていたけど、「人間がいないほうがよっぽどいい」とか「地球上、人間がいない歴史のほうが長い」みたいなことを言ってくる人に対しては、どう返すんですか?


伊勢谷
 「おまえはじゃあそもそも何なんだ」って訊く(笑)。「それを達成するためには身内も殺すって事なんだよ」って。でも、そんなことできないから、誰も。


久志
 じつは僕のなかでまだ定義できていないんですよ。人間は良いのか悪いのか、いるべきなのかどうなのか。個人的には人間がいることが良いと定義していない状態なんです。


伊勢谷
 そういう自分も人間だよね?


久志
 そうなんだけど(笑)。なぜかというと、テクノロジーの力によって、僕たちはずっと漫画『火の鳥』のように生き残ることができる——というか、よりリキッドになるんじゃないか?地球に溶けていくんじゃないか?っていう感覚があるんですよ。


伊勢谷
 何それ、ヤバイね(笑)。


久志
 僕らの肉体が存在しない未来も大いにあり得るって話。行動や思考をすべてAIでとなった行き着く先に……。


伊勢谷
 『攻殻機動隊』的な感じ?


久志
 それに近いものまで行くかもしれない。たとえばSNSでいうと、テクノロジーの力を使えば、僕が1週間後に何を投稿して誰と出会うかということまでわかるんじゃないかと。その実現可能性は高いはずです。


伊勢谷
 どうだろう。僕は言い切れないと思うけどな。それに肉体を放棄するの?


久志
 必要としなくなる可能性は大いにあるんじゃないかと思います。人間にとって今自分たちに見えていない世界に行くことや、違う次元に上がるのって結構恐怖だと思うんですけど……それでいうと僕は今、成長や改善というものも、この世の中にとって不必要なものだと思っていて。


瀬戸
 成長や改善まで必要ないっていうのは大胆な意見だね。


久志
 うん。その成長や改善というのは、ちゃんとした名刺の出し方、きちんとしたお辞儀の仕方、誤字脱字のないメールといったもの。誤字脱字の校正なんてAIのほうがよくできるし、いずれテクノロジーが回収していくものなのに、そっちのほうがフォーカスされちゃってる。それは自分たちの認知の範囲を超えているものに、人間が恐怖を感じるから。でも、僕たちが本質的にやらなきゃいけないのは、人間の可能性をどのように飛躍的に伸ばしていくのかということじゃないかなと。義足に関するテクノロジーもそうだし、ゾーンみたいなマインドセットの考え方もそうだし、超音波と肉体の関係みたいなのもそうだし。どうやって次に移行するのか。


伊勢谷
 肉体の放棄にせよ、成長と改善の話にせよ、それがもしあり得るなら、みんなが気兼ねなくそっちにいける状態。インフラがちゃんと作られて、理解されて、共有されてからだと思うよ。社会が変わるのはテクノロジーによってではなくて、一般の人たちがそれを理解した瞬間だから。


久志
 それはそうかもしれない。


伊勢谷
 だから「これは恐怖じゃないんだよ」って言える人間たちがそれを改善していって、みんなが恐怖だと思わないレベルまで形になれば、その時に自然発生するんだと思う。やっぱり一番大事なのは目的だからさ。それによってすべてのパーツをどこに向かわせるかが決まる。だからリバースプロジェクトは人類や地球のことを考えて活動してるし、勝くんは超音波を使って空間を作っているわけじゃん?

「何が最善の行動か」という問いへの答え方は自由だけど、自分が命を費やしてやることなら真剣に選ぶし、真剣に力を使うし、冷静にシンプルな生き方ができるっていう。


瀬戸
 でも、その意識にいくまでが遠いよね、やっぱり。


伊勢谷
 まあ、遠いだろうね。


瀬戸
 やっぱり政府と国民の間には差があるし、結局人間は失敗から学ぶ生き物だから。先に理想が掲げられてもなかなかその方向にいけないからね。


伊勢谷
 だから未来のためにみんなで意見を出し合って、みんなで頑張って行動して、失敗したら改善策を講じて、ということなんだよ。その仕組みをどれだけマッチングでうまくできるか。

今の社会は、あらゆることがすべからく集権から分権に向かっていて、分散して、さらにはそれを認めていくという多様性も持ち始めているじゃない?だから、その分散されたさまざまなアイデアを、インターネットの仕組みを使ってマッチングしていけばいいと思うんだよね。そのマッチングのひとつの形が会社だろうし、メルカリのような流通だろうし。そういうものはすでにはじまっている。


瀬戸
 そうだね、たしかにもうはじまってる。


伊勢谷
 リバースプロジェクトがやってるのも、目的意識を持ったマッチングなんだよ。場所を貸す、そこに集う人たちのつながりを作る。超音波だってそうじゃん? そういう空気感を作ろうという試みなわけで。


瀬戸
 リバースプロジェクトとしては、テクノロジーを使ってどういうふうにマッチングしていくの?


伊勢谷
 お金をもらって、それでクリエイターとクライアントがつながることができるマッチングアプリ。超軽いだろ?(笑)。


瀬戸
 軽いなあ(笑)。


伊勢谷
 でも根本的にはこれだよね。今の社会でまだ難しいのは、「これやりたい」と「これできます」の間をとりもたないとどうにもならないこと。リバースプロジェクトではつねにそれをやってきたという感じ。

「僕らはそれを“覚醒”と呼ぶ」

 

瀬戸 なんかあれだね、この鼎談してみて思うのは、友介がIBMならびんちゃん(久志)はAppleって感じだよね。インターネットを使って、すごく論理的に世界を進める手助けをする側と、すごくクリエイティブに時代を変えていく側と。


伊勢谷
 でも僕はAppleのほうだよ(笑)。


久志
 僕も、あの、起業家であり経営者なんで、めちゃくちゃロジカルだし数字も見ますよ(笑)。


伊勢谷
 そうだよね、だから今日のは振りだ(笑)。


久志
 ポジショントークだから(笑)。でも、そのバランスはすごく大事。今って、右の話をできる人はいるけど左のことはわからないという人、その逆も結構多いなと思っていて。僕、ヒッピー文化が好きだという話をしたけど、ヒッピーだってじつはそうなんですよね。その視点の話はできるけど。


伊勢谷
 そうだね。で、その間にあるのがメディアなんだろうね。


瀬戸
 びんちゃんの向かってるとこはまさにそこだよね。メディアを通していろんな価値観を伝えていく。思考パターンや想像力を広げていくということ。


久志
 そうですね、それを僕らTABI LABOは「覚醒」と呼んでいるんですよね。

TOP PHOTO: ©︎2018 TABI LABO

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