『社会課題のジブンゴト化計画』リバースプロジェクト・龜石太夏匡氏
生きている以上、社会には守らなければいけないルール・システムが存在する。法律だったり、会社や学校の規則、規定だったり。例えば、学生服や、会社のスーツ・ユニフォームがそれだ。
もし、今のままのルール・システムに従って生きていたら環境問題も社会問題も何も解決せずに『人類は滅びる』、なんて言われたらどうするだろう。
節電をする?食べ残しをしない?
タバコのポイ捨てをしない?
ファストファッションを買うのをやめてみる?
口だけでなく、実際に行動に移せるだろうか。今の生活習慣をいきなり変えるなんて、自分自身が“危機感”を持たない限りできないことだ。
環境や社会のためとはいえ、どこか関係のないことのように感じるかもしれない。しかし、一人ひとりのちょっとした習慣は、実は『人類・地球の未来』と直結している。
Photo by Kohichi Ogasahara
それを変化させるには、みんなまず社会問題に気付き、「ジブンゴト化」しなくてはいけない。その気付きをもたらす手段は、「環境・社会にとって良いルール・システムにシフトする」こと。
決して容易いことではないが、個人が変われば社会も変わる。大袈裟にではなく、未来が開く。そう強く信じ、情熱的かつ着実に人類が生き残るために、命を燃やし続ける男が東京に存在する。
彼の名は、龜石太夏匡氏(かめいしたかまさ)。リバースプロジェクト共同代表。彼の活動を聞いていくと、課題先進国・日本に生きる我々に課せられた「ちょっとした宿命」が浮かび上がってきた。
「人類・地球」の救い方
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「人類が地球に生き残るため」。
そう大きな理念を掲げて7年前に設立した株式会社リバースプロジェクト。龜石氏はなぜこの会社を立ち上げたのだろうか。それは、共にリバースプロジェクトを立ち上げた伊勢谷友介氏との出会い、そして共に制作した映画の存在が大きいという。
今までに『カクト』や『セイジ 陸の魚』いう作品を制作してきたふたりが、毎回絶対にぶち当たるテーマが、現実に起こる社会問題や環境問題だったそうだ。
エネルギー、少子高齢化、年金破綻、産業の空洞化、経済危機、累積債務、地域の過疎化…。前例のない数多くの問題に、世界の先進国よりも先に直面すると言われている課題先進国の日本で、「自分たちの社会課題に対する考え方」を、映画の中だけでなく継続的に現代人に発信していけるような活動をしたいと考え、リバースプロジェクトが始まった。
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彼らはプロジェクトに取り組む上で、「危険だ!大変だ!」と警鐘を鳴らすのではなく、冷静にテーマを見つけ、情熱的、かつ現実的な「社会課題を現代人にジブンゴト化」させるプロジェクトを立ち上げ、“机上の空論にしない”をモットーとしている。
企業のルールをひっくり返す計画
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龜石氏が目をつけたのは、「企業の制服」を*環境配慮型に変えることだった。
(*ここで言う環境配慮型とは、エシカルな素材や循環システムを取り入れること。)
企業のルールで、制服を着なければいけない会社は少なくないだろう。ガソリンスタンド、運輸業者、工場、公園などで働くスタッフ。彼らは会社に決められた「制服」を着なければいけない。
この社会の「ルール・システム」をシフトできれば、現代人が課題に気付くのでは?と龜石氏は考えたのだ。
プロジェクトの名は『全日本制服委員会』。
たった「200円」で開かれる未来
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企業の制服を環境配慮型にして、制服を作ることはひとつ課題が生じる。それは、制服の一着あたりの単価が数百円程度コストアップするということ。
「その200円のコストアップを埋めるために、これからは120%のクリエイティビティが求められる」と、龜石氏。
「120%のクリエイティビティ」という付加価値をつけなければ、企業にとって環境配慮型にするメリットが少ないと見なされてしまうのだ。『全日本制服委員会』では、コストアップをカバーするふたつのポイントが存在することを教えてくれた。
01.「委員会」を大々的に設置し、制服そのものを価値あるコンテンツにすること。02.リバースプロジェクトというフィルターを通して、なかなか伝わりにくい企業の企業の社会的責任(CSR)をより多くの人に伝えるということ。
時にはメンズファッションの第一人者・菊地武男氏のような有名デザイナーに協力してもらうことで、それらをカバーする付加価値を創造したという。
伊藤忠エネクス(ガソリンスタンド)、ヤマト運輸(虎ノ門ヒルズ)、青森県弘前市弘前公園の制服などを『全日本制服委員会』が手がけており、他にも様々な企業から声がかかっている。
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「もし3,000人の従業員のいる会社の制服がエシカル素材に置き変われば、10人でも『自分が袖を通している制服に使われている素材ってなんだろう?』とか『エシカルって、リバースプロジェクトってなんだろう?』と疑問を持つかもしれない」。
そう龜石氏が述べているように、強要できなかった習慣をシフトできる可能性が生まれてくる。
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無駄な食品を買わない、エアコンを省エネモードに設定する、ゴミをポイ捨てしないーー。「制服のエシカル化」というルールの変革がキッカケとなり、自発的に「環境や社会を考えた習慣」にシフトする可能性が出てくる。彼が着実に変えていく「ルール・システム」が、社会課題をジブンゴト化させていくきっかけになるかもしれない。
そんな龜石氏の活動を知った今。自分のちょっとした毎日の習慣が、実は、自分の未来や次の世代の未来、日本の社会問題と関連していることに気づく。
今からでも、明日からでもできる。「意識した習慣」から社会課題が頭に浮かび上がってきたのであれば、それが我々現代人に課せられた「ちょっとした宿命」だ。
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Be inspired by
“Family and Friends”.
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最後に、「Be inspired!」というメディアにちなんで、人生の中で「最もインスパイアを受けたモノ」は何か?と尋ねた。
「家族と友」。
東映第6期ニューフェイスの俳優だった父・龜石征一郎氏、パイドパイパーというアパレルを立ち上げた兄。そして、何よりも「挫折禁止」という座右の銘を掲げ、リバースプロジェクトを一緒に立ち上げた友、伊勢谷氏。そんな挑戦に満ちた人々に囲まれて生きる龜石氏だからこそ、彼自身も「人類・地球の未来のため」と大きな目標を掲げ挑戦をできるのかもしれない。
「挑戦すれば、後悔することも多いかもしれないけど、その分思いがけない人やチャンスに出会えるし、なにより“人生が豊かになる”。後悔以上の喜びや達成感を得られるんじゃないかな」。と、最後にメッセージをくれた。
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Licensed material used with permission by Be inspired!