調香師と学生が考案した「香りで社会問題を解決する方法」とは?
スイスの香料会社「Firmenich」の調香師と、ロンドンのデザインスクール「Central Saint Martins」の学生が協働して、「フレグランスが私たちの未来に与える影響」をテーマに、21種類の作品を開発した。
各学生が作り上げた装置に応じて、熟練した知識を持つ調香師が香りをつけるユニークな試みから、2種類をご紹介しよう。
1つ目は、摂食障害へのアプローチとして、Alessia Yu氏が考案した「Mindful Dining(マインドフル・ダイニング/心が満たされる食体験)」。
音声ガイドに従って操作をしていくと、ディフューザーボックスから発せられる香りと映像によって、これから食べるデザートの材料が紹介されるというものだ。
Yu氏は、食事において嗅覚が大きな役割を担うことに着目して、自分が味わっているものに対して、改めて意識を働かせることで、より楽しい食体験を提案してみせた。
このアイデアを香りの面から支えたのが、調香師のAlexis Grugeon氏。
「Smell The Taste(味わいを嗅ごう)」という技術を用いて、バナナブレッドのやみつきになる香りを再現した。
2つ目は、住民が自分たちの住む地域の未来に対して、より関心を持てるようにと、Aliza Ruzavina氏が考案した「Scent Fountain(セント・ファウンテン/香りの噴水)」。
このデバイスは、新しい建物の開発や地域の問題について問う住民投票の際に、結果に応じた香りのチューブを嗅いでから、ボタンを押して投票ができるというユニークな仕組みになっている。
つまり、将来その地域がどのような香りになるかを、実際に自分たちが、あらかじめ“嗅いで判断”できるということだ。
調香師のHamid Merati-Kashani氏は、街中でも力強く育つマグノリアの香りを中心に、都市の中の自然というコンセプトにあったフレグランスを調香した。
そのほかにも、社会問題を解決する新たな糸口になりそうなアイデアが盛りだくさん。
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