光の魔術師がデザインした、泊まれるアート作品『光の館』

『光の館』は、新潟県十日町市で3年に一度だけ開催されている世界最大級の屋外芸術祭「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」に展示されている作品のひとつ。

宿泊できるアート

展示がはじまったのは2000年のこと。常設展示となっているため、先に紹介した芸術祭の期間外にも閲覧できます。日中に見学したり、会議で利用したり、さらには宿泊することも。

作品を設計するにあたりインスピレーションを得たのは、小説家・谷崎潤一郎の文学作品『陰翳礼讃(いんえいらいさん)』。"陰翳"には、薄暗く趣のある変化があるという意味があります。

光のアーティストととも呼ばれる設計者ジェームス・タレル氏は、作中にある「われわれが既に失いつつある陰翳の世界」という一節を、外の光との調和によって表現しました。

豪雪地域のため、家屋は伝統的な高床式となっており、四季折々の風景を高さのある視点から楽しめます。キッチンが自由に利用でき、自炊可能。

天井に四角い窓があるこちらの部屋は、屋根がスライドで開く仕組み。そのため、眩しい太陽光と切り離した状態で青空を眺められます。

夜空の色彩変化を意識する機会はなかなかありません。ここなら畳に寝転びながら空を眺め、徐々に移り変わる微妙な色の違いをゆっくりと感じられます。

光の演出やそのコントラストが醍醐味。もとになったコンセプト「瞑想の館」の雰囲気が伝わる場所。

光に触れる浴室

これは宿泊者だけの特権。まるで光に触っているかのような感覚に。タレル氏ならではの光の知覚が味わえます。

宿泊にはいくつか条件が。

タレル氏は、3つの家族がこの宿で1晩交流することを望んでいるため、少人数のグループで予約する際には、他の団体と同泊になることも。

もちろん、それぞれの部屋は別々ですが、鍵などはなく、施設の利用もすべて譲りあい。宿泊者同士の距離感を楽しむのも一興というわけ。詳細はWEBサイトで。

Licensed material used with permission by 光の館
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。