「美しい」って、なんだろう。
23歳の日本人アーティスト渡邉 彩友(ayuwatanabe)さん。彼女の代表作「ピンク・フェミニスト」の被写体になっている女の子たちは、みんな、自身の陰毛やニキビ、セルライト、一般的にはネガティブに見られることが多いからだのパーツを、ありのままにさらけだしています。
海外アーティストの作品ではこういうスタイルのものを見たことがあったのですが、日本人のそれでははじめてみて。しかも、同い年だと知って、より興味を持ったので、このシリーズをはじめたきっかけなど、ご本人におはなしを聞いてみました。
94年生まれのフィルム・フォトグラファー/アーティスト。
モデルというファンタジーよりも、その中にあるグロテスクなリアルこそ美しい。
「このシリーズでは、美の可能性や多様性を表現しています。ニキビや陰毛も、わたしには美しいもので。
もともと生々しいリアルに興味があるんですよね。不完全のなかにある美しさみたいな。たとえば、すごく美しいモデルさんも、毛が生えていたり、血を流したり、排便もしますよね。モデルっていうファンタジーよりも、そのなかにあるグロテスクなリアルこそ、美しいと思っているんです。
だけど、一時期、自分もモデルをやってみて、そういう考え方は世の中でまったく賞賛されていないってことを痛感しました。まだまだ、白い肌や細い体型が正義とされていて、美の常識がとても閉鎖的だった。それも美しいのひとつだと思うんですけど、わたしは窮屈に感じてしまったんです。それで、『じゃあ、自分で作ってみよう!』って思いました」
フェミニストは、女性権威のためじゃなくて、平等な世の中をつくるために存在する。
「毛や傷があっても、わざわざドリーミーな感じに撮影しています。そのコントラストにフェミニスト的な意味を込めているんです。
日本では、フェミニストと聞くと、西洋人の強い女性とか、男性嫌悪者みたいなイメージが強いでしょう?フェムっていう女性を指す言葉が含まれているから、どうしても女性権威のためってなりがちなんですけど、もともとは平等な世の中をつくるためにあるものだと思っています。
みんながみんな、フェミニストと名乗る必要はないと思うんですけどね。ただ、男女平等、人種差別をしてはいけない、とかそういう本質的な考え方を持ってくれたらいいなと思います」
美と醜は紙一重。ayuさんのニキビや陰毛が美しいという意見、ほんとにそうだとわたしは考えています。
とはいえ、当然ではあるのですが、否定派も大勢いて。その大勢の中には、食わず嫌い的な感じで「美しくない!」って言っている人たちも多いと思うんです。そういう人たちが、「美しいっていう人もいるよね」って言えるようになることが、美の多様化につながるんでしょうね。
最後に、Ayuさんは美の多様化が進んだ未来についてこうはなしてくれました。
「みんなが『理想の女性』って言われる世の中になればいいなって思います」