彼女は、男たちから「ピンポンガール」と呼ばれている。

「女」を武器にして生きる。

風俗嬢やポルノ女優など、自ら選んで「夜の世界」を生きることを決意した女性たち。“性の香り”であふれかえる彼女たちの居場所は、私にとっては未知の領域といえるもの。でも、まったく興味がないというわけじゃない。むしろ、未知の扉を開けてしまいたいとさえ…。アーティストJulia Fullerton-Battenの『The Act』には、私の知りたかったすべてが書かれている。

あぁ、今宵こそは、勇気を出してその扉を開いてみようと思う。大切なアソコをつかって誇り高き仕事をする一人の女性の歩む道を。

魅惑のショータイム!
股の間から出たものは…。

あるショーを見るには、その店の前に立つ男に数枚の紙幣を渡さなければなりません。店内へ入ると真っ赤なベルベットのカーテンが開く。そして、拍手喝采な彼女のステージがはじまるのです。

色白で華奢な女性が登場。名前はMouse(マウス)。彼女を観にきた観客たちは、ショーがはじまると、悲鳴に近い声で叫び出す。なぜかというと、Mouseが股の間からオリーブを放つたびに、彼女の甲高い声が店内に響くのですから。

嫌悪感を抱くものや心から喜び笑うものが入り混じり、観客席はカオス。でも、誰もが「もっと見たい!」と、声を上げるのでした。

「ピンポンガール」
Mouseの生きる道

周囲から「ピンポンガール」と呼ばれる彼女。これまでは、ダンサー、ストリッパー、そして“フェチパフォーマー”として、20年以上も活躍してきました。

骨盤底筋を鍛え、ピンポン玉を飛ばす練習をするために、「女性器」でブドウをを潰す日々。それに、あるものを利用すれば、どんなものでも膣から撃ち放つことができるのです。最近は、オリーブを飛ばしています。

Mouseによると、観客の多くは19歳くらいの青年だと。それに、男性客がこの“異常なパフォーマンス”で興奮することはあまりないそうです。

「ねぇ、なんでこんな仕事してるの?」って、多くの女性に聞かれるわ。でも、なぜ彼女たちがそんなことを聞くのか私にはわからないの。だって痛くないんだもの。ただ、オモシロイって理由だけでもいいじゃない。

 

まぁ、ストリッパーとして働いていた時の方が、男性に声をかけられることが多かったんだけどね。

 

彼女の名前が、
「Mouse」になった理由

彼女に名前の由来を尋ねると、子どもの頃につけられたニックネームだと言います。が、セックスの時にネズミのような声を上げることからつけられたあだ名だったとも。

しかし、真実はそんなに面白いものではありませんでした。実は、彼女はいつも細くて長い髪をポニーテールにしていたそうで、その姿が「生理用タンポン」に似ていたことからつけられたあだ名なのだと。タンポンはネズミの姿にも似ているため、「マウス」と呼ばれるようになったのでした。

男たちの“甘い死神”

Mouseの周囲の男性たちによると彼女の存在は、男たちにとって“死のキス”を与える、ある種「死神」のようなものだと。

男の人って、スリルを求めるあまりに、持っているお金をすべて私に費やすの。なのに、「仕事をやめてほしい」って。で、彼らのお金はすべてなくなって、興味もなくなるってわけ。

彼女は、自分の仕事について誇りをもっているため、プライベートでもその話をするのを恐れていません。それが「独身であり続けることの本当の理由」なのかもしれないとも言っています。それに、セックスをしたいと思う気持ちがないそうで、それが恋人を探さない理由だとも。どちらにせよ、あまりの忙しさで彼女に恋人を探す時間はないでしょう。

誰がなんと言おうと、「私がしていることは、絶対に恥ずかしいことじゃない!」って、堂々と言えるわ。もしかしたら、これがシングルでいる最大の理由なのかもね。


 

Julia Fullerton-Batten

あの衝撃は忘れられない——。

ポルノ女優・ポールダンサー・SM嬢など、“夜の世界”で生きる女性たちのリアルな姿と言葉をまとめた『The Act』。フォトグラファーであり、The Actの著者でもあるJuliaに、なぜ彼女たちの世界に興味をもったのかを聞いてみたところ、こう答えてくれた。

 

「娼婦として生きる女性。仕事をしている時の姿と真実の姿。『生きる』ために、己のカラダをつかうことを決意した彼女たちに、私は強烈に惹かれてしまった。」

Licensed material used with permission byJulia Fullerton-Batten, (Book)
 

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