売春だってビジネス。一回、17万円で「淫らな幸せ」をあげる。

「性」を売る女性たち。

自分のカラダを男たちに売り続ける。好きでもない相手とのセックス。なんだか、苦痛なことのように思えてしまう。でも、娼婦たちの“生の声”をまとめた『The Act』の著者であるJulia Fullerton-Battenが出会ったある一人の女性の話を読んで、私の考えは少し変わった。

エスコートガールとして働く彼女は、自分の仕事を心の底から「誇らしい」と思い、とても堂々としているのだから。

子どもがいても美しく。
受付嬢から「高級売春婦」に。

あるところに、エスコートエージェンシーの受付で働きながら、子育てをしていた美しい女性がいました。とても優しい性格で温厚な彼女。実は隠された魅惑的な一面があります。

彼女が受付をしているときに、時折見せるウィンク。これが男たちの心をつかみ、“淫らな案内人”として名を轟かせたのです。こうして、ポルノ女優であり高級売春婦でもあるLola Marie(ローラ・マリー)が誕生したのでした。

私は高嶺の花。
男たちに夢を見せる存在だから。

なめらかなサテンガウンを羽織り、優しく微笑むLola。自称ニンフォマニア(色情症)であると断言しています。赤の他人と“夢物語”を実現したいと、彼女は大真面目に語るのです。

私は、セックスが好き。セックスのすべてが好きなの。でも、男たちにとっては、なかなか手に入らない「高嶺の花」でもあるわ。

私のお客は、
セックスに不満をもつ男。

客が彼女のもとを訪れるインコールでは、毎回1,200ポンド(17万8千円程)が、Lolaに支払われます。彼女が客のもとを訪れるアウトコールの場合は、1,500ポンド(22万3千円程)。

でも、お金で満たすことのできる「欲求」というのは、性的な体験とは限らないのだそうです。

多くの男性は、結婚に不満のある人ばかり。たまりにたまったセックスへのストレス。だから私は、夜の夫婦生活では手に入らない「官能」をあげることにしているの。

 

マッサージをして、話をきいてね。それだけでも、セックスよりも心を満たすのに効果的なこともあるのよ。クライアントが何をして欲しいのかを、しっかりと理解してお金をもらっている。そうはいっても、素敵な“アレ”の持ち主は大歓迎よ!

私が与えるのは、
幸福な“恋人の時間”。

“性産業”のなかにも悲しみがあって、「自分を買うお客さんも多くの悲しみを抱えていることが多い。キスやフェラがすべてではない」とLolaは言います。

自分の人生を虚しいと感じている人もいる。その原因は、奥さんに性的な対象として見てもらえないことだったり、ただ誰かに触って欲しいという望みだったり。そんな人もいるの。

 

「僕は、君と一緒にランチをしたいだけ」っていう、寂しい人にはとても同情しちゃうことも。もちろん私だって、相手との時間を楽しんでいるし、共感だってする。私の仕事である“恋人体験”。限られた時間の中でその役を演じるようにいつもしているの。イチャイチャして、一緒に笑って。

 

誤解されることがあるけれど、私にも気品や誇りがある。それに、決して尻軽女ではない。車の窓をノックするような売春婦とは違うの。

 

売春だってビジネス。
私は決して「感情移入」しない。

私のお客さんは年齢も職業もばらばら。大学生もいれば70代の紳士も。どんなに友好的で優しくても、クライアントに感情移入はしてはいけない。深く関わることは、この世界ではご法度だから。

 

ベッドの上でセックスはするけれど、お客はお客。これは仕事なの。もし、一線を越えてしまったら、すべてが複雑になってしまう。私の仕事は、こういう「サービス」を提供すること。まぁ、歯医者と同じよ。それ以上はないって断言するわ。

Lolaは、エスコートガールと呼ぶよりも“偽りの愛人”と言った方がしっくりくるかもしれません。親身になって相談にのってくれて、自分では知り得なかった新たな「価値」を教えてくれる親密な友人。ただし、お金の関係が続いている限りの話ですが……。


 

Julia Fullerton-Batten

あの衝撃は忘れられない——。

ポルノ女優・ポールダンサー・SM嬢など、“夜の世界”で生きる女性たちのリアルな姿と言葉をまとめた『The Act』。フォトグラファーであり、The Actの著者でもあるJuliaに、なぜ彼女たちの世界に興味をもったのかを聞いてみたところ、こう答えてくれた。

 

「娼婦として生きる女性。仕事をしている時の姿と真実の姿。『生きる』ために、己のカラダをつかうことを決意した彼女たちに、私は強烈に惹かれてしまった。」

Licensed material used with permission by Julia Fullerton-Batten, (Book)

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。