31歳ではじめてお見合いした話。vol.2

なんだか、ここ数日、会う人会う人に「お見合いの続きが気になる!」というお言葉を頂き。思いのほか、『31歳ではじめてお見合いした話。vol.1』が好評だったので、調子に乗って続編イっちゃいます。

31歳のオトナの対応とはいかなるものか

年齢も住んでいる所も、顔すら知らない男性・Fさんとお見合いをすることになった31歳のお見合いヴァージンな私。 

そこで、はたと思った。 

「えっと、まずはどうすればいいんですか?自分からガバッといけばいいんですか?それとも、正座して三つ指ついて“よろしくお願いします”って言えばいいんですか?」 

と。だって、ヴァージンなんだもの。わからないわ。と、いつもは缶ビール片手に「“ヤル?”と“スル?”だったら、どっちがエロイ?」なんて作家さんと打ち合わせをしている私が考えたわけです。あ、言い忘れていましたが、私はこの時、小説の編集者をしていました。なのでこの会話は仕事ですよ、仕事。

しかし、これはお見合い。普通の頭で考えて、“真っ当な女性”が正解のはずだと判断。まずは、男性を立てて、あちらのご意向に添ってみようと思い至りました。 

大叔母さんからご紹介いただきました。お忙しいそうですが、お昼に少しご一緒できるお時間をいただければと思います。

というお相手からのメールに、思いつく限りの丁寧な言葉で、なおかつこちらの本性を悟られないように返信メールを作成します。

はじめまして。この度は、うちの大叔母がFさんのご迷惑も考えず、大変失礼な申し出をいたしまして、申し訳ございませんでした。
あの通り世話好きな大叔母ですので、多少強引なところもございますが、もしFさんさえよろしければ、お目にかかれる機会があればと思います。

Fさんからのメールがきて、10分以内に返信しました。だってオトナですから。連絡はお待たせしてはいけません。

 

しかし。このメールが放置されること3日…。 

な、なんで?もしや、本当に迷惑だった?と、告白すらしてない、ってか会ってすらいないのにフラれた感を存分に味わったところで、やっと返信が。 

では、来週の日曜日にお目にかかりましょう。場所は大手町でよろしいですか?

と、まさかの配慮をスルー。そして、なぜに日曜日に大手町?おそらく、私の職場がそのあたりなのを知ってのことなのだろうが、日曜日の大手町でランチって…。

仕事休みだから大手町行かねーよ!
店、開いてねーよ!オフィス街だっつーの!
せめて丸の内にしろよ!

と某芸人さんバリのツッコミをぐっと飲み込み、本当にぐっと飲み込んで返信。 

大手町もいいですが、オフィス街なので日曜日はあまりお店が開いてませんよ。それよりも、Fさんは多摩のほうにお住まいなのですよね?私はどこでも参りますので、新宿や渋谷などのほうが楽なのではないですか?

我ながらオトナの対応だ。ツッコミを見事にオブラートに包み、軌道修正するあたり、さすが!と自画自賛。

 

しかし、その返事はまた3日空いてきたのでした…。 しかも、衝撃的な内容でね。

31歳のアレルギーチェック

“目を見開く”という表現、よく使います。でも、実際に目を見開いたのは、おそらくこのメールを見た時がはじめてだったのではないかと思います。

そうですか。それでは、山手線沿線で考えます。CHIEさんは何かご希望はありますか?和食がいいとか、イタリアンは嫌いとか、蟹アレルギーがあるとか。

ちょっと待て。最後の一言、もう1回見直してみよう。

“蟹アレルギーがあるとか”って、書いてあるよね。

えっ!?まさかのアレルギーチェック!?

いや、イタリアンはこってりしてて苦手です…とか、あると思うんだよ。でもさ、蟹しかない店なんてないじゃん。もしや、まさかのお見合い=初デートで蟹道楽!?ってか、ランチだぜ?と、頭の中は道頓堀の蟹の足がワサワサしている状態で悩む。この人、お見合い相手への初めての質問が、アレルギーなんだ、と。

だって、もしこれがリアルなヴァージンだったらですよ。

「シティホテルがいいとか、ラブホは嫌いとか、騎乗位アレルギーがあるとか」

って、最初からいきなり体位限定?みたいな質問ですよ?それってなんだかとても無粋な気がします。私のアレルギーを心配してくれたのね!とオトナな思考回路にはどうしてもならず、少々の嫌味を入れて返信。 

私は女性情報誌の編集者をしていたこともあるので、好き嫌いもアレルギーもありませんよ。なんでもおいしくいただきますので、お任せします。

でたー。あざといマスコミアピール。でもさ、私の仕事も知らないで来るより、「あ、へたな店選ぶとヤバイな」ぐらい思ってほしいじゃないですか。

この嫌味には敏感に反応し、すぐに返信がきました。

CHIEさんは情報誌の編集者なんですか。それは盲点でした。『おとなの週末』買ってるようじゃダメですね。もう少し考えます。

お、お、おとなの週末~!B級グルメ?築地で寿司?やっぱり鰻?お見合いでそっち系なの?

いや、いい雑誌ですよ。おとなの週末。ひかれるコピーも目にします。でもさ、お見合いする店は載ってないだろー。ってか、百歩譲っておとなの週末ベースなお店でも、蟹道楽はないだろー。ってかてか、私の仕事が盲点って。見えてないんじゃなくて、聞いてないんだから知らないんだろ、と。 

もうこうなると、ツッコミ祭りです。 

かくして、若干めんどくさくなってきた私。それでも、こういう礼儀を重んじる出会いでぶっちぎりなんて許されない…と、全力で来週の日曜日の予定を空けようと諦め…いや、再確認しました。

が。 

まさかのダブルブッキング発覚!なんとその日は、わが愛しのアイドルグループのライブだったのです。しかも、泊まりで長野まで。 

 

考えること1分。 

ごめんなさい。日曜日なのですが、急な仕事が入ってしまいました。申し訳ないのですが、再度日程の調整をご検討いただけませんか?

とメール。 

アイドル > お見合い です。 

だって。ライブのほうが先に予定入ってたし。ま、忘れてた私がいけないのだが。そして、若干、若干ですが『このままフェードアウトしちゃおっかなー』という、オトナとしてあるまじき淡い期待を抱きつつ、メールの返信を待つ日々を過ごしていたのでした。 

が。 

 

が。 

 

が。

 

これで終わったら、私はお見合いヴァージンのまま。神様ったらイジワルね。どうしても、私をオトナにしたかったみたい。 ついにあの方からの制裁がくだることに…。

vol.3へつづく

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。