「KEEN」がフジロックで「商品の良さよりも」伝えたかったメッセージ
世界中の有名アーティストが一堂に集まり、抜群の知名度を誇る国内最大規模の野外フェス「FUJI ROCK FESTIVAL」(以下 フジロック)。参加したミュージシャンやフェスラバーズたちから「世界一クリーンなフェス」と評されてきたフジロックですが、じつは近年、フェス終了後に出る大量のゴミがちょっとした問題になっていました。そんな事態に立ち向かうべく、アウトドア・フットウエアブランド「KEEN」が新たにスタートさせたひとつの試みをご紹介します。
熱狂のあとに残っていたのは
放置されたゴミの山だった......
キッカケとなったのは、昨年のフジロック終了後の会場の風景でした。
そこは、ゴミ袋の山やフェス飯の器、紙コップ、使用後のキャンプ用品が至るところに放置された状態だったそう。
「世界一クリーンなフェス」と謳われていたフジロックでの、近年のフェスマナーの低下を真摯に受け止めたフジロックは、来場者が今一度マナーを見直し、再び「世界一クリーンなフェス」を目指すマナー向上キャンペーン「お作法(OSAHO)」を展開。
その一環として、アウトドア・フットウェアブランドの「KEEN」は、来場者に「OSAHO」をレクチャーするブースを設置しました。
このキャンペーンの目的は、フェス自体のマナー向上を目指しながら、会場だけに限らず「自分のことは自分で」を実践することで、普段の生活にもその行動と経験を活かせるようになること。
「KEEN」がシューズ作りとともに
大切にし続けてきたこと
そもそも、いちシューズメーカーがなぜそんなキャンペーンを手掛けることになったのか──。
それは、「KEEN」が「地球のすべての場所を、みつけたときよりも美しくして去る。世界を少しでもポジティブに変える」という、ブランドの根っこに流れるモットーを本気で実践しているから。
近年ではファッション業界関係者にもファンが急増するなど、洗練されたデザインと実経験から反映された確かな機能を持つプロダクトはもちろん、そんなアウトドアフィールド自体を大切にするブランドの並々ならぬ決意が垣間見えます。
フジロックへの「KEEN」の
想いが詰まったプロジェクト
今回のキャンペーン「OSAHO」に賛同した、キーン・ジャパン合同会社のジェネラルマネージャー・日本代表を務める竹田尚志さんにお話を聞きました。
「KEEN」がフジロックのオフィシャルサポーターとして参加したのは2015年からですが、以前よりブランドのアンバサダーや仲のいいミュージシャンたちのなかに、フジロックがスタートした当初から深い関わりを持っている方が多かったんです。
だから「KEEN」がフジロックと関わりを持つのもすごく自然なことでした。そうした流れで、フジロックでは、実際に「KEEN」を履いてもらえるシューズの無料貸し出しブースを設置してきたのですが、昨年のフジロック明けの月曜日の朝に会場をもう一度訪れたとき、あまりにもゴミやキャンプの残骸がそこら中に広がっていて……。
そもそもフジロックって、自然との共生や自然を敬う心を音楽を通して学べることが魅力だと思うんです。
そこで、「KEEN」としてもプロダクトの宣伝以外に何か環境改善のためにできることはないかと考え、以前から親交のあった、野外フェスを中心に環境対策活動をおこなうNPO団体のiPledgeさんと相談して“OSAHO”というテーマのもと、来場者の方々が今一度マナーを考える機会になるような活動を一緒に展開することにしたんです。
「OSAHO」が作る
クリーンなフェスと未来
具体的な活動内容としては、まず「KEEN」ブースで”OSAHO”をレクチャー。海外からの来場者も多いフジロックなので、多言語を用いながら、あらためてフェスのエチケットや知識を高める取り組みがおこなわれました。
その後は隣接する「iPledge」ブースで、得たばかりの知識を実践できる分別ワークショップを体験。これは、会場で出た紙コップやペットボトルなどの“資源”をリサイクルできるように再度分別するというもの。
しっかりと分別して捨てているつもりでも、たとえば油汚れやタバコの吸い殻などが入っている紙コップはリサイクルに回せなかったりするなど、じつはまだあまり知られていない「常識」もあるのだとか。
ちなみに、正しく分別された紙コップ17個で再生トイレットペーパーが1ロールできて、それらは翌年のフジロックで使用されるそうです。
「環境に対して何か行動したい」。そんな気持ちがありながらも、具体的なアクションの方法がわからないという人は、きっと少なくないはず。だからこそ「KEEN」のブースには、1日に約1500人もの人が訪れ、この取り組みは大きな成果を残して話題となりました。
フジロックが、その豪華なラインナップだけでなく、再び「世界一クリーンなフェス」として、すべての音楽好き、フェス好きにさらに愛されるように、この機会にあなたも“OSAHO”についてしっかり考えてみてはいかがですか?