「マインドフルネス」の最前線──「VR」と「ヨガ」の融合

「誰でも日常生活のなかで
知らずに瞑想状態を体験している」

©2019 TABI LABO

マガリ:では、VR瞑想の開発の話もお伺いしたいのですが、映像やガイドのベースになっているものってあるのでしょうか?

 

ケン:アシュタンガヨガの根本経典である『ヨーガ・スートラ』の内容と、自分の実践のなかから導き出した意識の操作法をもとに、どうやったら現代の人に取り入れやすいかを考えながら構成しています。

 

マガリ:根本教典には瞑想の話は“文字”で書かれているわけですよね? それをVRという映像にするには苦労もあったのでは?

 

村山:そこはすごく大変でした。ケン先生と何度もやり取りをして、開発に約1年を費やしました。

 

マガリ:私も先ほど体験させていただいたのですが、VRゴーグルで360度の視界を覆われていることもあって“没入感”がすごいですよね。映像が迫ってくる感じとか、包み込まれる感じとか、平面のディスプレイを遠くから眺めているのと違って、VRは体験が高まりますね。

ちなみに、このVR瞑想はどこで体験できるんでしょうか?

 

村山:ケン先生が代表の「IYCインターナショナルヨガセンター」の「瞑想指導者養成基礎講座」でご利用いただいております。

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マガリ:実際に利用された方の感想はいかがでしたか?

 

ケン:全国200人ほどのヨガ実践者にアンケートをとると、約80%が「理解できた」と回答してくれました。

もちろん「よく分からない」という人もいるのだけど、ゾーンみたいな状態を体験しているアスリートや、たくさんのジャッジを日々おこなっているビジネスマンのような人には共感の声が多かったです。

 

マガリ:なるほど。VR瞑想を使い続けていくと、だんだんと脳の使い方もわかってくるのでしょうか?

 

ケン:同じ映像を何度も観るというより、一度でもそれを観ておくと、意識をどう向けてよいのかの方向性がわかるので、リアルな場面で使えるようになっていきます。

 

マガリ:すべては意識の切り替えということでしょうか?

 

ケン:うん。ある意味ではイリュージョンなんだよね。本当は同じことでも、意識の使い方で疲れ方も違うし、結果まで変わってくる。思考が現実につながり、願った方向、思った方向にエネルギーが流れる。そして、流れたエネルギーに対して行動を起こせば、思っているものが向かってくる。

 

マガリ:楽しい時間はすぐ過ぎるけど、イヤな時間は長くて、楽しみながらやれば成功に結びつきやすいですよね。

 

ケン:自分の力だけを集中させて何かに取り組むより、まわりのエネルギーが自分に来るような意識で、自然のエネルギーと同調しているように行動すれば、自分のキャパよりもいろいろなことができてしまう。

ヨガっていうのは「交わる」こと。自分の意識が全体と交わる。対象物に対してジャッジせず、すーっと受け入れる。

 

マガリ:なるほど。ただ、ひょっとするとこういう話はすごくレベルが高くて、一般の人にはたどり着けない境地のように思えるのですが、VR瞑想を使ったトレーニングで得られる意識というのは、ケン先生がヨガの修行で至った境地とは異なるものですか?

 

ケン:同じものです(キッパリ)。コンセプトを理解すれば、別にここからヨガの修行をするのではなく、ほかの選択肢もあります。

そして、いままでの人生を振り返ってみれば、誰しもそういった意識の状態を体験したことがあるはずです。

私もヨガをやり始めた頃は、ヨガの経典に書かれているような意識の状態にはなかなかならなくて。でも、経典の中に書いてあるのと同じよう思えたのは、山に登っていたときとか、サーフィンやっていたときとか、仕事をやっていたときの感覚でした。

ヨガをやる前に体験していたんだよね。

 

マガリ:ヨガをやる前に、ヨガの意識状態に触れていた、と。

 

ケン:そう。ヨガを深めていこうと思ったのは、ヨガのポーズをやろうと思ったわけじゃなく、ポーズを通じてその意識状態になれるとわかったので、それならより早いなと。

仕組みが分かっていれば、それを磨き上げればよいだけだから、早い。

 

マガリ:私もクリスタルボウルで瞑想や癒やしのイベントをおこなっていますが、そこですごく悩ましいのは、イベントの最中には瞑想や癒しを体験できたとしても、自宅に帰った後、普段の生活のなかで、クリスタルボウルなしでも同じような感覚になれないと根本的には変わらないというか、対処療法にすぎないというか。

VR瞑想はゴーグルを着けている時間より、ゴーグルを外した後の時間の方を大切にしているのがすごくよいですね。

 

ケン:ヨガはライフスタイルです。生き方をよりよくするためのツールのひとつとしてVR瞑想があるわけで、そういったツールがたくさんあれば選べるじゃないですか。

ヨガは様々なものの底上げになるけれど、必要なものを選んでいけばよいと思います。

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「対談を終えて......」
Magali Luhan

時折難しいヨガ用語が飛び交いつつも、集中と瞑想、一体感のバランス、そして「戦いモード」という言葉は強く響きました。

情報とテクノロジーを使って、最短の距離を最小の労力で駆け抜けようとしつつ、狭い道を猛ダッシュするものだから、ちょっとでもうまくいかないとストレスを感じてしまうようでは本末転倒とも言えますよね。

スマホ時代になってから、便利になったのは間違いないけれど、幸せや喜びを感じることは逆に減ったような......。

VRのようなテクノロジーだけが進化するのではなく、テクノロジーを上手に使うことで私たちそのものが進化していくという姿は、未来へのあるべき道を知れたようでとてもワクワクできました。

VRを用いた瞑想を気軽に体験できるのはもう少しだけ先のことになりそうですが、テクノロジーの進化に負けることなく、私たちも進化をしていきましょう。

Ken Harakuma/「IYCインターナショナルヨガセンター」代表ほか

独特な呼吸法とポーズによって集中力を高め、心を静めてくれるとされるアシュタンガヨガの創始者シュリ・K・パタビジョイス氏より日本人初の正式指導資格者として直接認定を受ける、日本におけるアシュタンガ・ヨガの第一人者。「IYCインターナショナルヨガセンター」代表、「アシュタンガヨガジャパン」主宰、「一般社団法人アスリートヨガ事務局」代表理事。書籍、DVDなど著作多数。
http://www.iyc.jp/kenharakuma

村山英子/「株式会社ヴィヴァーチェネクスト」Contents creator

WEB、映像、エディトリアルの制作会社「株式会社ヴィヴァーチェネクスト」にてヨガプロジェクトを担当。最新テクノロジーと長い歴史をもつヨガの融合である「VR瞑想」の企画を立ち上げる。
http://www.viva-next.com/vryoga/

Magali Luhan/「クリスタルボウル」奏者

2005年よりクリスタルボウルの奏者としての活動をスタート。毎月開催する定期イベントのほか、各種コラボやリトリート、完璧な暗闇空間での演奏など、全国各地で年間100回を超える演奏をおこなう、旅するクリスタルボウル奏者。当企画の「聞き手」としてマインドフルネスに関わる情報を発信していく。
https://crystal-soundbath.com/

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