大人がドハマりする「塊根植物」と専門店「BOTANIZE」の魅力

塊根植物の人気が止まらない。

数万円もする株や鉢が、オンラインにアップされた途端、飛ぶように売れ続けている——。

このムーブメントを牽引するのが、白金のエキゾチックプランツショップ「BOTANIZE」と代表・横町健氏だ。百貨店やセレクトショップとコラボしたPOP UPは毎回大盛況で、熱狂的なファンが全国から数多駆けつける。

じつは、何を隠そう自分もその魅力に取り憑かれた一人。大のオトナたちを夢中にさせる塊根植物とBOTANIZEの魅力とは?

「東京の兄ちゃんが来て、オベサを買い漁ってるって噂になった」

塊根植物 グラキリス
©2020 NEW STANDARD
塊根植物 グラキリス
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BOTANIZE 横町健
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──圧巻の温室ですね!昔から植物が好きだったんですか?

 

僕の父はエンジニアでずっとドイツで働いていました。たまに日本に帰ってくると、盆栽の講師として色々な園芸店を回っていて、小学生だった僕も一緒について行ってたんです。そうしたらある日サボテンを買ってもらって、すっかりハマっちゃって。小学三年生の頃かな。

 

──小学三年生でサボテンにドハマり……。

 

丸くてぼってりしたフォルムにヤラれちゃって。とにかく丸い形のサボテンをひたすら集めてました。

 

──かなりの収集癖と聞いています(笑)。

 

もともと父の収集癖がすごくて、その血を継いでますから(笑)。ひとつサボテンを手に入れたら、もうたくさん並べたくてしょうがない。お小遣いを全部サボテンに費やしてたから部屋中がサボテンだらけで。

 

──そのままハマり続けた?

 

いえ、中学生になると色気付いたのか、サボテンのことなんて忘れちゃった(笑)。でも7〜8年前にアパレル系の先輩の事務所に遊びに行ったら、サボテンとパキポディウムが飾ってあった。懐かしいと思って見てたいら子どものときの記憶が蘇ってきて……。どうしても欲しくなってカクチペスをひとつ譲ってもらったんです。

 

──もともとの植物魂が再燃したんですね。

 

家に帰ってネットで調べまくりましたよ。そうしたらオベサに出会ってしまって、ユーフォルビアにドハマり。丸いぼってりしたフォルムと真上から見たときの幾何学模様がたまらなくて。

 

──また集めまくった?(笑)

 

当時は大きな輸入球があまり国内に入ってきてなかったので、国内で実生(みしょう:種から育てる)している農家さんを回りました。かなり噂になったみたいですよ。「東京の兄ちゃんが来て、オベサを買い漁ってる」って(笑)。

BOTANIZE 横町健
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ユーフォルビア・オベサ
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かつて横町さんが買い漁ったというユーフォルビア・オベサ。写真の二頭は極めて価値が高い。

「塊根植物は自然がつくったアート」

──BOTANIZEを始めたキッカケは?

 

オベサのあとにひたすらグラキリスを集め始めて、それらをInstagramにアップしていたら「売ってください」と連絡が来るようになって。もともと塊根植物が大好きで、趣味で集めて、それらをお譲りするようになったのがBOTANIZEのスタート。

 

──好きとはいえビジネス。決断も大変だったはず。

 

何が大変かって、自分がコレクターだから、仕入れるものは自分が欲しくなるんですよ。でも、イイものをお客様に提供しなきゃいけないと思ったので、そこは心を鬼にして、私物も全部放出しているんです。

 

──ありがたいです(笑)。当時、現在の塊根ブームを予想できていた?

 

流行らせるというよりは、こんなに面白い植物があることをもっと広く知ってもらいたいという思いで始めました。僕個人の取材を受けるときも必ず植物とセット。一緒に紹介してもらうことで、少しずつ浸透させてきたんです。でも、確かにここまで流行るとは思ってなかったですね。

 

──何がここまで多くの人を魅了するのでしょう?

 

やっぱり根がぼってりして丸い、あの独特のフォルムでしょう。特に現地球はマダガスカルの過酷な環境で育ち、荒々しい形になっている。まるで自然がつくったアートですよ。傷ついていたり、陽に焼けていたり、一つひとつ個性があるところも魅力です。

 

──その魅力を一層引き出すのが鉢。塊根植物と組み合わせる楽しみ方を提案したのがBOTANIZEだと言われています。

 

僕は洋服が好きでアパレル関係の友人も多い。一部の人から植物はファッションじゃないと言われることもありますが、それぞれの楽しみ方があっていいと思います。僕は自分好みの鉢に着せ替えてあげて、それを愛でるのが好き。そのほうが気分がアガるじゃないですか?

塊根植物 グラキリス
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塊根植物の代表格、パキポディウム・グラキリスはスタッズの鉢との組み合わせがニクい。

──同じ植物でも鉢が違えばまったく違う印象になる。

 

高さのある鉢に植えるのと低い鉢に植えるのとではまったく違う。ぽってりしたのはなるべく低い鉢でクリアランスを狭くしたい。

 

──キツキツのほうが可愛いですもんね(笑)。

 

そうそう(笑)。そういう楽しみ方があるからこそ、こうやって同じ趣味を持つ人同士が盛り上がれる。マッチングを楽しむことも間違いなく植物の一つの楽しみ方です。

 

──最近は鉢から入る人も多い。

 

伊勢丹やセレクトショップのPOP UPでは鉢も販売しています。まず鉢のかっこよさに惚れて、じゃあこの鉢に植えるべきはなんだろう?と植物を選ぶ。そういう順番の人も増えてきました。洋服を買いに来たはずの人が植物に興味を持ってくれて、そこからどっぷりハマってくれるのはやっぱり嬉しいですよ。

 

──植物に興味がない人に対するアプローチとして、POP UPに注力的なんですね。

 

はい。それができるのがBOTANIZEなんじゃないかと自負しています。

「今は実生がトレンド。育成にシフトしている」

──アーティストとのコラボにも積極的。BOTANIZEを見ていると、間口を広める手法の多さに驚きます。

 

たとえば、香港のスコット・チャンというアーティストとコラボして鉢を作りました。面白いアーティストって世界にたくさんいるから、アート業界を少しでも盛り上げられたら嬉しいなと思って。しかも、植物に大金を払える人ってアートのファンと通づるところがあるから、そこを一緒にしてしまったら面白いんじゃないかと。アートにまったく興味がなかった植物好きが、BOTANIEを通じてアートを買ってみようって思うかもしれないし、その逆もしかり。

 

──ブームの加速という意味では、Stay Homeの影響も大きかった。

 

僕の会社の事業は飲食と植物の2本柱。前者は売り上げがガタ落ちだったものの、後者はじわじわと伸びていたんです。BOTANIZEはPOP UPのようなイベントをやってガツンと売り上げを伸ばすことが多いのですが、今年はなかなかイベントができなかったぶんECをこまめにアップしたり、Instagramでライブオークションをやったりと違うことに注力しました。おかげでコロナの影響はまったく受けなかったですね。

 

──塊根植物におけるトレンドの変化は感じますか?

 

塊根植物が盛り上がり始めた頃は、大きくて荒々しい輸入級が人気でした。ある程度できあがった樹形を愛でるわけです。もちろん、そういう方はまだたくさんいらっしゃいますが、今は実生の人気が高まっている。国内で種から育てられたものを、日差しや水、鉢などの環境によって、自分のさじ加減で理想の形に育てていく。徐々に育成にシフトしてきていると感じます。

 

──たしかにInstagramには実生の投稿が目立ちます。

 

国内実生には現地球とはまた違う魅力がある。例えば、先日発売したMEDICOM TOYさんとのコラボフィギュアを見てください。これが僕の中の理想のグラキリス。現地球と実生のハーフをイメージしています。

BOTANIZE 横町健
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「MEDICOM TOY×BOTANIZE」グラキリスのフィギュア。9月26日に発売され即完。

色味が緑っぽいのは実生ならでは。マダガスカルほど厳しい環境で育っているわけではない実生ものは、本来は下のほうまでトゲが残っています。MEDICOM TOYさんからはそれも再現できると仰っていただいたんですが、あえて表面のテクスチャーは現地球をイメージしました。

 

──「80%リアルを目指した」とか。

 

最初のサンプルは肌質、形、すべてが本物みたいでした。でも、そうじゃないと。もっと質を落としてくれと。

 

──質を落としてくれというのも珍しいオーダー(笑)。

 

そう言われました(笑)。でも、このフィギュアの構想はずっと頭にあって、色々なところからお話をいただいたのですが、おもちゃならではの良さを出したいからこそMEDICOM TOYさんじゃなきゃダメだった。子供の頃からフィギュアが大好きだったので、僕にとって集大成ともいえる作品。シリーズ化して、来年にかけていろいろなカラーが登場しますよ。

「年末にヤバいコラボを用意している。激震だと思います」

BOTANIZE 横町健
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アトリエのようなオフィスには、LYや橋爪悠也といった著名アーティストの作品が飾られている。どれもマニア垂涎のものばかり。

──BOTANIZEからは短期間でどんどん新しいものが出てきます。

 

今後はもっと力を入れてやっていきます。僕自体が立ち止まってられない性格で、思いついたことをどんどんやりたいタイプ。年末にヤバいのを一発用意していますから期待しててください。

 

──可能な範囲で教えてください(笑)。

 

BLACK MARKETというイベントを年に1〜2回やっているのですが、最近はコロナの影響でできていなかった。年末に久々に開催しようと思っていて、そこでヤバいことを起こすつもりです。あの人とやるんだ!ってみなさんが驚くような国内アーティストとコラボして、 鉢やアパレル、アートを発売する予定。自分でいうのもあれですが、結構激震だと思いますよ(笑)。

 

──激震!楽しみすぎますよ

 

今はここまでしかお伝えできませんが期待しておいてください。あ、代わりというわけではないですが、コレ……見てくださいよ。すごくないですか?いま僕がもっとも注目していて、次のトレンドになるかもしれないと思っている植物。塊根みたいに乾燥を好むのではなく湿度系です。

 

──何ですかコレ、すごい!!!

 

※次回、「NEXTトレンド植物!?編」は明日公開予定

Top image: © 2020 NEW STANDARD
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