「ヒトとサルの細胞が混ざった胚」が世界で初めて誕生
米「ソーク研究所」のホアン・カルロス・イズピスア・ベルモンテ教授率いるアメリカと中国の合同チームが、ヒトの細胞を含んだサルの胚を作成したことを発表した。
実験では、受精後6日目のサルの受精卵に、人のiPS細胞を加え、キメラ胚132個の生成に成功。しかしながら、胚は20日目の段階で破壊されてしまったという。
このような異種の遺伝子型の細胞が混在した「キメラ胚」は、今までにもヒトとブタでおこなわれたり、ヒツジの胚にヒトの細胞を加えた例などがあるが、これまで度々その倫理的問題が指摘されてきた。
英「プログレス・エデュケーショナル・トラスト」のディレクターであるサラ・ノークロス氏は「倫理と規制の面で難しい問題があり、社会的議論が必要なのは明らかである」との考えを示している。
対して研究チームらは「キメラの研究は、生命の最初期だけでなく最終期における生物医学研究を前進させるためにも、非常に重要であり役立つ可能性がある」と語っているようだ。
医学の発展と倫理的問題のバランスが難しく、学会のなかでも立場が分かれている同分野の研究。
国際的な議論を進めながら、慎重に進めていただきたい。
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