長年の敵だったヘルペスが、癌を克服する「希望」になるかもしれない

人類にとって長年の「敵」だったヘルペスが、癌を克服する「希望」になるかもしれない──。

ロンドンの医療研究機関「The Institute of Cancer Research(ICR)」が、革新的な癌の治療法を見出した。

ICRによると、「RP2」と呼ばれる新たな治療薬の投与によって、ある癌患者が15ヶ月間の完全寛解(異常や症状がなくなり、正常機能が回復した状態)を迎えたという。

RP2は、口唇や性器ヘルペスの原因となるウイルス「ヘルペス1」の遺伝子を組み換えたもの。これを腫瘍部に直接注入することで、ヘルペスウイルスが癌細胞のみに感染し、癌を殺すことができるのだそう。

ちなみにこの治療法、英国の研究者によって既にフェイズ1試験段階まで進められている。

その結果では、他の治療法が効かなかった9人の癌患者のうち、RP2を単体投与した3人に癌細胞の縮小、または成長停止を確認。さらに、他の免疫療法薬との併用では7人に同様の結果が見られ、治療効果が認められたとのこと。

また、RP2による深刻な副作用は今のところ報告されておらず、あっても発熱や悪寒程度だったようだ。

サンプルが少なく、まだ正式な査読を受けていないため「完全な新治療法」としては認められていないものの、先の研究は、治療が有効かつ比較的安全であることを示していると言えるだろう。

研究が進めば、本当に「ヘルペスで癌を克服する」治療法が確立するかもしれない。

「目には目を」とは言ったものだが、「病で病を」討伐するアイデアは非常に斬新だ。今後の成果に期待したい。

ICRの研究レポートはこちら

Top image: © Corona Borealis Studio/Shutterstock.com
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