8400万年前、地球は今より12度傾いていた……。

岩石などに残る残留磁気より、過去の地球磁場(地磁気)を分析する地質学の一分野に、古地磁気学というものがある。

この度、東京工業大学がこの古地磁気学研究によって、8400万年前の白亜紀後期の地球の姿を暴き出した。曰く、地軸が今より12度傾いていたんだそう。

ご存知のとおり、地球は北極点と南極点を結ぶ「地軸」を中心に自転を続けている。地軸は公転軌道に対して約23.4度。というのが、物理学の授業でも教わった現在の傾きだ。ちなみにこれ、約4万1000年の周期でおよそ21度から24度の間で変化することが知られている。

とはいえ、4万年ごとの変化を直に感じることができる人間など存在しない。そこで、科学者らは実際に地軸の傾きが変化したことがあるのかを探り、その証拠を探索し続けてきた。かねてからのこの問いに、今回挑んだのが、先述の「古地磁気学」だ。

オープンアクセスジャーナル「nature communiations」にて発表された研究論文によると、研究チームは、イタリア・中央アペニン山脈のアピロ・ダム湖と北アペニン山脈のフルロ近くで、1億4550万年前から6550万年前の白亜紀に生成された石灰岩のサンプルを採取。これらに残された地磁気記録を分析していった。

地磁気データを用い、100万年間隔でイタリアの平均的な伏角と偏角を計算した結果、8600万年前から8000万年前までのあいだに、イタリアが赤道に向かって一時的に移動したことが示されたほか、8400万年前に約12度傾いていたことを示す証拠を発見したそうだ。

生命の進化にも少なからず影響を与えたであろう12度の傾き。今後さらなる解析でいったい何が見えてくるのだろうか?

Top image: © iStock.com/dem10
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。