今も、250年前も。女性の「あの感覚」はおなじでした。
全国的に、晴れ模様の今週末。
着込んでいたコートを脱いで、あたらしいスカートをおろして、鮮やかな色のリップをポケットにしのばせておでかけ、なんていう人もいるんじゃないでしょうか。髪色やヘアスタイルを変えたり、春になると嬉しいのは、こういうところですよね。
遡ること250年ほどまえ
世の女性たちは。
暖かい季節のおとずれとともに着物を鮮やかな色に替えたり、かんざしなどの装飾品を新調したり。お化粧でいえば、高価な本紅を塗り重ねることが流行していたのだそう。
女性が「春になると心踊る」のは、はるか昔から変わらないようです。
そうそう、江戸時代の美人女性といえば、“うりざね顔(やや面長な感じの顔)で目がシュッとしている” イメージが強いですよね? でもじつは、この頃から美人像にも変遷があったようで。
北斎が描く「美人」たち。
葛飾北斎「花魁と禿」(後期展示)すみだ北斎美術館蔵
江戸時代を代表する浮世絵師・葛飾北斎は、おもに「富嶽三十六景」などの作品でその名を知られていますが、じつは「美人画家」と称されるほど、たくさんの江戸の美人女性たちを描いてきた人物でもあるのです。
自身の画風に固執することなく、世の女性たちの意識の変化や流行の変遷を作品に取り入れたことから、北斎が描く美人像は「楚々とした女性」から「ボリュームのある艶やかな女性」へと変わっていきます。
女性自身が “季節や時代にあわせて自分を飾り、それを楽しむようになっていく” 変化が、そのまま反映されているんですね。
春がきた、
今こそ堪能してほしい。
現在、東京『すみだ北斎美術館』では、『Hokusai Beauty 〜華やぐ江戸の女たち〜』を開催中。江戸の女性風俗を伝える装身具や化粧道具とあわせて130点ほどの作品や資料から、北斎の美人画の魅力、華やかな江戸美人の世界が紹介されています。
本格的に桜が咲きはじめた今こそ、遠い時代の女性たちの「華やぐ春の姿」を堪能してみてはいかがでしょう。