人間の細胞からつくった「ミニ脳」で、動物実験がいらなくなるかも!
2016年2月12日、人間の細胞をもとにつくられた小型の脳が開発されたと発表されました。人間の細胞から作られてるため、より正確な化学実験が行えるというのが一番の特徴です。実用化へのプロセスが非常に速やかに進むと予想されており、実験用の動物に頼る機会を早い段階で大幅に減らせるのではないかと期待されています。
開発したのは、Johns Hopkins Universityの毒物学者、トーマス・アルトゥング博士が率いる研究チーム。彼は、大学のwebサイトで、これまで動物実験によって有望な結果が得られた薬品なども、95%は人間に応用できなかった、とコメント。2016年内の「ミニ脳」生産開始を目標としています。
カンタンに培養できる
「ミニ脳」って?
そのサイズは、ハエの眼球ほど(直径0.35mm)。ひとつのシャーレに100個設置可能で、それぞれから100〜1,000もの複製を作ることができます。2ヶ月ほどで4種類のニューロンと2種類の支持細胞が成長し、ボール状の脳ができあがり。
これによって、幅広い実験環境のもと、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、自閉症、感染症、トラウマ、脳卒中などの研究が行えるようになります。ちなみに、これまでにも同様の研究は行われていましたが、実用化へのプロセスが非常に容易である点が、従来と違うところだそう。
「アメリカ合衆国農務省(USDA)」の統計によれば、2014年のアメリカ国内に限っただけでも、およそ85万にも及ぶ動物たちが実験に使用されました。「日本実験動物協会」が発表している、2010年に日本で販売された実験用動物の数は、合計586万5,403にも。
どちらも衝撃的な数字ですが、博士は「ミニ脳のようなモデルを、いつでも、どの研究室でも作れるようになれば、多くの動物実験の代替案として機能するようになるでしょう」と語っています。