人間の脳内に入り込むマイクロプラスチック。8年間で1.5倍増
どうやらプラスチックという物質は、私たちが想像していた以上に人間に“馴染んでしまっている”のかもしれない。
インターネット上に投稿されたあるプレプリント(査読前の論文)が驚くべき内容を明かした。曰く、2024年に採取された人間の脳のサンプル内に、8年前と比較して約1.5倍のマイクロプラスチック片が混入していたことが明らかに。
プラスチックに曝露される現代人
人体への影響は……?
研究によると、2016年と2024年に死因検証のため包囲学解剖を受けた92名の脳や腎臓、肝臓の組織を調査したところ、採取された脳サンプルのうち、24個から重量比にして平均0.5%のプラスチックが検出されたことを発見。
サンプルは、高次元な思考や感情を司る前頭葉部分から摘出されたもの。調査を率いた米ニューメキシコ大学のMatthew Campen教授は、「かなり憂慮するべき事態」だと『The Guardian』に語った。
プラスチック片はいったいどこから脳へと入り込んだのか……。
食品から検出されることもあるマイクロプラスチックやナノプラスチックについて、「米国食品医薬品局(FDA)」は、健康に危険をもたらすことを証明する科学的根拠はなしとの声明を出してはいる。けれど、近年の調査を追っていくと、マイクロプラスチックが酸化ストレスや心血管疾患をはじめとするさまざまな症状のリスクを高める可能性ありと示唆するケースも散見する。
今回の研究においても、アルツハイマー病を含む認知症で死亡した人の脳組織を調べたところ、健康な人の脳よりも最大10倍のマイクロプラスチックが含まれていたことが判明したそうだ。
研究者たちは、調理の際にプラスチック調理器具の使用を控えたり、ペットボトルの水を避け水道水を活用したり、さらには加工肉の摂取を控えるなど、プラスチックに曝露される機会を減らす努力を進めているが……。
至るところ大気中にすら存在するというマイクロプラスチックを人体に取り入れない手立てなど、はたしてこの世に存在するのだろうか。