考えてみよう。「わたし」にまつわる科学的な5つの疑問
「自分の体は自分のもの」「私は私」。
日々なんとなくそう思ってしまいますが、実は科学的に見ると「わたし」というのはとっても曖昧な概念なんだそうです。
公開から1週間で再生回数200万回を超えたこちらの動画は、「人間ってなんだろう?」と改めて考えさせられると、話題になっています。
「わたし」とは何なのか、科学的な5つの疑問を見てみましょう。これらの問いに、まだ答えはありません。あなたは、どう思いますか?
【疑問1】
移植した臓器は誰のもの?
移植した臓器は
あなたの体を形作っているのはひとつひとつの細胞です。それでは細胞が自分自身なのでしょうか?
ここで、臓器を移植したときのことを考えてみましょう。臓器は細胞でできています。病気で困っている人にあなたの臓器を移植したら、それは「他の人の体の中であなたが生きている」ということになるのでしょうか?
【疑問2】
細胞が全て入れかわってもあなたはあなた?
細胞が全て入れかわっても
こんな思考実験をしてみましょう。誰かと細胞をひとつずつ交換していくとしたら、どの段階であなたはあなたでなくなるのでしょうか。全ての細胞を交換し終わったとき、一体どっちがあなたになるのでしょう。
人間の体の中では、たったの2分で、2億5000万の細胞が死ぬと言われています。7年経つと、身体中の細胞は全て入れ替わってしまいます。それでも、あなたはあなたなのでしょうか?
【疑問3】
1951年に死んだヘンリエッタは
今も生きている?
1951年に死んだヘンリエッタは
今も生きている?
1951年に、ヘンリエッタ・ラックスというひとりの女性ががんで亡くなりました。しかしヘンリエッタの体から採取された細胞はその後も生き続け、増殖し続けたのです。
この細胞は「HeLa(ヒーラ)細胞」と呼ばれ、世界中の研究者によって培養され、ポリオワクチンの開発を含む、さまざまな医療的発見に貢献し続けています。その量は、累計でおよそ20トンにも及ぶそうです。
果たしてヘンリエッタは死んでいるのでしょうか、それとも生きているというべきなのでしょうか?
【疑問4】
DNAが同じならあなただと言える?
DNAが同じなら
生化学に詳しい人なら、「細胞の中に含まれるDNAに保存されている遺伝情報こそ、自分と他の人を隔てる証」だと考えるかもしれません。
しかし実は、たとえ同じ人の細胞でもDNAは微妙に異なっているのです。突然変異や環境の影響で、DNAは変化し続けています。特に脳を形作る神経細胞は、およそ1,000もの変異があるということが、最新の研究で明らかになっています。
果たしてDNAは、どれくらい「あなたそのもの」だと言えるのでしょう。
【疑問5】
あなたが生まれたのは一体いつ?
あなたが生まれたのは
あなたとそれ以外を分ける境界は、はっきりとしたものではありません。常に周りの物質とやり取りし続け、変化しています。
ひょっとしたらあなたは、偶然に現れた模様や美しい風景と同じように、今この一瞬だけの存在なのかもしれません。
仮にそうだとしたら、あなたが生まれたのは一体いつなのでしょう。
精子と卵子が出会ったとき?
人類が誕生したとき?
最初の生命が生まれたとき?
それとも…宇宙がはじまったとき?