「人工の肉体」を生み出す技術は、ここまで進んでいる!
マサチューセッツ総合病院の研究チームが、移植に適した人工の手足の開発に向けた“最初のステップ”をクリアしたと発表した。これはロボットアームなどのインプラントではなく、人工の筋肉を培養してつくる正真正銘の肉体だ。
実験用のラットの細胞で生み出した筋肉や骨、靭帯を撮影した動画は衝撃的だ。
手足を再生するためには筋肉の他、骨、軟骨、血管、腱、靭帯、神経などが必要だ。その全てが正しい構造に沿って再生されなければいけない。
まずは筋組織の構造化を助ける添木の入った鞘(さや)に細胞を納め、5日間培養する。その上で電気刺激を与えることによって、細胞の組織化をサポート。2週間ほど更に培養を進め、添木を取り除く。すると、血管壁や筋組織が適切に構築される…これが今回確認された“最初のステップ”である。
電気信号で刺激を与えて行ったテストでは、生まれたばかりの動物の筋肉のおよそ80%ほどの強度があることが確認されている。血液も循環し、関節も稼働した。さらに、ヒヒの前足を使うことで、人間の患者に合わせたスケールでのアプローチについても確認済みだという。
実際に人間の手足を再生できるまでは、まだまだ様々な課題が残っている。しかし、同じ技術が人間に適応できない理由はないというのが同チームの見解だ。
臨床試験など多くのプロセスが必要にはなるが、今後の動向に目が離せない注目の技術と言えるだろう。
Licensed material used with permission by Bernhard Jank, MD, Ott Laboratory
Massachusetts General Hospital Center for Regenerative Medicine