「猫の手」が引き寄せるのは、金か、人か、それとも......
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
招き猫の日
(Lucky Cat Day)
西暦500年代の中盤、朝鮮半島南西部の国・百済(くだら)から日本(大和朝廷)に伝来したとされる仏教(※)。
無数の経典や書物などとともに、同じ船に乗ってやってきたものが“あり”ます......いや、“い”ます。それは飼い猫です。船内の鼠除けのために乗船した猫によって、それまで猫を飼うという風習のなかった日本にその文化が移入されたといわれているのです。
ときは下り、江戸時代。かつては高貴な身分の限られた人の間でのみ楽しまれていた猫を飼うという行為は、趣味(愛玩)と実益(害獣除け)を兼ね、一般にも広く浸透しました。
そんな江戸時代に誕生したのが、商売繁盛をはじめとする、さまざまなご利益を呼び寄せてくれるとされる「招き猫」。
今日9月29日は、「来(9)る福(29)」にちなんで「日本招猫倶楽部」が制定した、江戸の町人文化から生まれたかわいらしい置き物の存在を祝う「招き猫の日(Lucky Cat Day)」です。
大衆文化から生まれたキャラクターのため、開発者や世に出た時期、誕生のストーリー、色や形がもつ意味など、じつにさまざまな説が存在しておりそれぞれ定かではありませんが、ともあれ、見た目のかわいさだけで400年以上にわたって愛され続けることなどありえるのでしょうか......?
洋の東西問わず、猫は不思議なチカラをもつ存在として、じつに多くの説話や伝承に登場します。
少しとぼけた表情で手を挙げる、あのキュートな猫の真価は、こんな時代だからこそ多くの人に強く求められるものなのかもしれません。
※仏教伝来の時期については諸説あり、現在は、公式に伝わったとされる記録が残っている以前から私的に信仰されていたという説が有力。