ダニエル・クレイグが「王室の勲章」を授かる快挙
2006年の『007/カジノ・ロワイヤル』から昨年公開された最終作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』までの15年間、5作品にわたって続けられたダニエル・クレイグ主演の映画「007」シリーズ。
「007のイメージを覆した」功労者として高く評価されているのだが、先月、ついにその功績は王室にまで認められたようだ。
「お待ちしておりました。英国王女は、映画や演劇への大きな貢献を称え、ダニエル・クレイグに彼が演じたジェームズ・ボンドと同じ勲章を授与しました」
王女より贈られたのは、「聖マイケル・聖ジョージ勲章」。これは19世紀初頭から続く由緒ある騎士団勲章で、英国と他国を結ぶ架け橋として功績のあった者に対して贈られるもの。
外交官や行政官といった政治的な重要役職を担う人々が受章することが多く、劇中のジェームズ・ボンドは1953年に受章している(原作小説『007/ロシアより愛を込めて』より)。
一方で、クレイグが栄誉に預かったのはもちろん、演技を通して祖国イギリスに大きく貢献したから。
クレイグ時代の「007」はシリーズの中でも人気が高く、2011年の『007/スカイフォール』は(近年のインフレ等の影響もあるとはいえ)英国内で歴代2位&007シリーズでは最高の興行収入を記録した名作だ。
その影響力から、昨年には英国海軍の名誉中佐にも任命されており、クレイグはまさしく「本物のボンド」と呼べる存在になっている。
この名誉は、彼の底知れぬ努力が実ったものではないだろうか。
というのも、今でこそ不動の地位を誇るクレイグだが、ボンド役に抜擢された直後には「ブロンドヘアであること」や「歴代に比べて背が低いこと」など、クレイグの容姿にまつわる批判が巻き起こっていた。
批判を覆すべく、厳しい訓練をこなして身体を鍛え上げたり、原作者の心情・意図を解釈したりと努力を積み重ね、原作に忠実な「タフなボンド」を体現して『007/カジノ・ロワイヤル』は絶大な評価を得ることに。
“本気でボンドと向き合った”結果が、今日の名声に繋がっているのだ。
批判を乗り越え「英国最高の軍人役」として世界に名を馳せたクレイグは、まさに英国と世界との架け橋たる騎士団勲章にふさわしいと言える。
そうそう、「王室とクレイグ」と言えば、2012年のロンドン五輪のオープニング演出にて、故エリザベス女王と共演したのも印象的。
勲章授与に陛下が立ち会えなかったのは悔やまれるが、王室の世代を超えて讃えられたということでもある。
今後は海軍中佐、そして王室からの勲章を背負う身として、英国の重大な「ミッション」を遂行していくとのこと。
シリーズへの出演を終えてなお、ボンド&クレイグの英国への貢献は語り継がれることになった。