金沢で蟹も寿司も! なくても美食度120%の2泊3日(後編)

この記事は「蟹も寿司も楽しもう! 金沢」という趣旨ではございません。あくまで金沢の“テッパン・フード”であるお寿司がなくても、十分、いやそれ以上楽しめて、満足できるというグルメ記事の後編です。

引き続き、金沢で生まれ育ち、東京在住の今も月イチで地元に帰っている食ライターが書かせていただいてます。

前編、後編の2回にわたって、計5軒をご紹介。冬、蟹シーズンまっさかり♡ お魚もおいしいですが、それでも蟹もお寿司もスルーして、金沢の最旬グルメをお届けします!

行列&売り切れ覚悟!
星付きパティシエールのスイーツ

金沢で前泊したら、朝、一番に駆けつけていただきたいのが、こちらのパティスリーです。もう一度、言います。こちらのパティスリーです。築150年以上、金沢市指定保存建物というすごい店構えですが、決して郷土資料館ではありません。

紅殻格子が特徴的な町家を利用した「パティスリー ローブ 花鏡庵(かきょうあん)」は、2022年4月に近江町市場からもほど近い、尾張町にオープン。以来、金沢でもっとも行列ができるスイーツ店として名を馳せています。理由は、ズバリ、おいしいから! 

こちらは『ミシュランガイド東京 2022』で、5年連続1つ星を獲得している「レストラン ローブ」の新業態。両店でパティシエールを務める平瀬祥子さんは、ミシュランと双璧をなすレストランガイド『ゴ・エ・ミヨ 2020』でベストパティシエ賞も受賞している。そんな世界クラスの実力の持ち主が古都に魅せられ、開いたお店なのです。

お店に入ると、真正面にあるのがショーケース。プリンやクレームダンジュなど、馴染み深いクラシックなフランス菓子が並びます。

石川県産のフルーツなどを使ったものや、加賀前田家の家紋として知られる梅鉢紋をモチーフにした「加賀ブレスト」など、金沢だからこそのアイテムもあって、本当に悩みます!

金のラインがデザインされたチョコレートケーキ「シュシュ」(650円)はなんと、金継ぎをイメージした一品。金沢蒔絵など漆の分野で何人もの人間国宝(重要無形文化財保持者)を輩出した工芸王国、石川県らしいビジュアルが素敵です。こちらはテイクアウトはもちろん、イートインもできます。

そう。ぜひ、イートイン・カフェも利用してみてください。パティシエ/パティシエールといっても、人によって仕事内容、得意技は大きく異なります。地球上に存在するパティシエ/パティシエールのほとんどが、テイクアウト専門店でのみ技術を磨いた人たちです。

一方、平瀬さんはパリ「レストラン・トヨ」、東京「エディション・コウジ シモムラ」といった星付きレストランで腕を磨いた方。できたての、アシェット・デセール(皿盛りデザート)も得意とされています。

現在は予約不可。開店前に並べば、10時45分から整理券が配られるシステムとなっています。おみやげにちょうどいい焼菓子も充実しています。

パティスリー ローブ 花鏡庵

【住所】石川県金沢市尾張町2-4-13
【営業時間】11:00~18:00(カフェ営業は14:00〜18:00)
【定休日】火・水曜
【公式Instagram】https://www.instagram.com/patisserie_laube/

取材拒否!
金沢ではジビエ料理も進化していた

金沢の中心地、香林坊から車で30分ほど、山の方に上がったところに、金沢で生まれ育った私もびっくりな一軒がありました。「季節料理 つばき」です。

夕方、車を走らせるとどんどん街の明かりがなくなって、「本当にここなの?」と不安になった頃合いで出現する、ポツンと一軒家です。基本、メディアの取材を受けていないので、知る人ぞ知る店ですが、ミシュランの星付きシェフたちも通っているジビエ料理を出す日本料理店。

椅子席のダイニングもありますが、取材時に通されたのは玄関から入ってすぐの囲炉裏がある部屋。外観も内観も『日本昔ばなし』の世界です。

使われる食材の9割以上が名刺の肩書きが「猟師」となっている店主、小村昭義さんが自ら獲った&採ったもの。熊や猪、鹿などのジビエやイワナ、鮎などの川魚に、山菜やキノコ、野菜でつくるおまかせコース(6,000円~)には、山も海も近い金沢という土地の恵みが目一杯詰まっています。

料理写真は掲載不可とのことなので、詳しくは実際に訪れてほしいのですが、調味料を極力控え、とことん素材の持ち味を追求したところに、ハーブ代わりに「今朝、ちょうど畑で咲いてたから」と可憐な小豆の花が添えられていたり。きっと小村さんご本人は意識してないだろうに、ここ10年、ガストロノミーの主流をなす、北欧の星付きレストランのような美意識も見られます。すごいです、ここ。

季節料理 つばき

【住所】石川県金沢市上中町己1-2
【営業時間】18:00〜,19:00〜(一斉スタート・完全予約制)
【定休日】火曜
【公式サイト】なし

国内外のスターシェフも腕を振るう
エンタメ系ガストロノミー

じゃーん! ついに金沢にもLAやNYにいるのか金沢にいるのか、わからないようなゴージャスな一軒ができました。「A_RESTAURANT(ア・レストラン)」といいます。東京でいう銀座と新宿と六本木をミックスしたような位置づけ、片町の飲食ビルの中にあって、夜のみの営業となっています。

ミュージシャンが各地を訪れる世界ツアーってありますよね? そのシェフ・バージョンがあってもいいんじゃない? という発想で誕生したということで、平常時にはレストラン営業を行いつつ、時には世界レベルのトップ・シェフを招聘してスペシャル・ディナーを実施するなど、食に関するイベントを開催しています。

ちなみに2019年のオープン記念には、シンガポールの「レストラン・アンドレ」オーナーシェフ、アンドレ・チャンさんと金沢「日本料理 銭屋」店主、髙木慎一朗さんという、Wミシュラン2つ星シェフによるコラボレーションディナーを披露。通常はヘッドシェフ今英之さんによるイノベーティブなコース(1万2100円~)を提供しています。

もともとは和食の料理人という今ヘッドシェフが中心となり、日本料理の伝統をベースにして世界中の料理や地元金沢の食材にフィーチャーし、最先端の科学調理法も取り入れながら創造された一皿は、いい意味でケレン味があって楽しいです。

石川県産の身がジューシーで皮をパリッと焼いた真鯛も、ご覧の通り。怪しげなスモークをまとって登場。料理に合わせてワイン、地酒が提供されるほか、バーテンダーによる趣向を凝らしたカクテルもペアリング。改めて、食はエンターテイメントであることに気づかされます。

 そして、改めて金沢はお寿司や蟹がなくても、十二分に楽しめる食都! むしろ、お寿司や蟹以外を食べないともったいない状況にすらなっています。その止まらない進化の行く末をぜひ、体験してください!

A_RESTAURANT

【住所】石川県金沢市片町2-23-12中央コアビル2F
【営業時間】18:00~,19:00〜(一斉スタート・完全予約制)
【定休日】月·火·日曜
【公式サイト】https://a.restaurant.co.jp

🦀いま、もっともHOTな金沢「最旬グルメ旅」🍣
↓(前編)はコチラ ↓

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