もう1つのシルク「きびそ」をタオルに使用するワケ
京都で100年以上の歴史を持つ西陣織企業「渡文株式会社」が、従来は捨てられていた「きびそ」を活用して、伝統的な製法でタオルを作り上げた。
「きびそ」とは、蚕がまず最初に吐き出す糸で、繭の外側を守るために少し硬く、太さも均一ではないため、加工が難しく処分されることが多い部分。
もちろん、成分はシルクと同じため「もう1つのシルク」とも呼ばれ、スキンケア商品の成分として活用されることも多いという。
©渡文株式会社
今回同社が、国産の「きびそ」を使用したボディタオルを開発したのは、国内の絹生産を復興したいという思いから。現在はほとんどが海外産の生糸に頼っており、技術の伝承と文化の存続に危機感を感じていたようだ。
そうして誕生した国産「きびそ」を使用したボディタオル「キビソ肌友だち輪奈」は、さまざまな特徴を持つ高性能な商品に仕上がった。
「きびそ」には絹たんぱく質である水溶性の「セリシン」が多く含まれ人肌にとても良く、保湿に優れていることが近年の研究で明らかになっている。
また、セリシンの活性酸素の働きを抑える能力はビタミンCと同じレベルであり、シワやシミなどの皮膚の老化を防ぐ作用もあるようだ。
100年以上シルクの製造に携わってきた老舗企業がおくる日本の伝統工芸の叡智が詰まった1枚。
世界から「きびそ」の存在を無くさないためにも、この製品を手に取って、その凄さを実感してみてほしい。
©渡文株式会社
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