台湾の注目アパレル、新作の原料は「サトウキビ」

台湾人デザイナーのヅゥチン・シンが手掛けるブランド、「Seivson」の2025年春夏コレクションが発表された。

TRACES(痕跡)という言葉をテーマに、女性の身体を通じて現代社会の歪んだ現実を表現している。そのなか注目すべき点の一つが、今回のコレクションに使用されている「PlaX™」という素材だ。

サトウキビを原料にした
環境貢献性の高い新素材を使用

「PlaX™」とは何か。

この素材は植物由来の合成繊維で、石油由来の合成繊維と代替することで、資源枯渇や二酸化炭素排出といった環境課題への貢献が期待される。

主な原料にサトウキビなどを使用したバイオマス素材「ポリ乳酸(PLA)」に、独自開発された植物由来の添加剤を加え、品質と機能をアップデート。カーボンニュートラルに貢献し、汎用性に優れた新素材として世界的の注目を集めている。

以下が主な特徴だ。

・ポリエステルと比較して原料から糸製造時までのCO2排出量を41%削減

・綿と比較して原料から糸製造時までの水使用量を90%削減

・水やCO2に分解される生分解性あり

・ケミカルリサイクルとの相性が良く、資源循環実現に向けた研究開発が進んでいる

・焼却廃棄時のCO2排出量を大幅削減し、有害物質も発生しない

©Bioworks株式会社

これらの環境貢献性に加え、ファブリックの質感や特徴がコレクションテーマである「傷は身体の経歴、シワは衣服の痕跡」にぴったりだったことで採用が決定したそうだ。

発表されたアイテムは、いずれも女性の身体のシルエットを強調しながら、布を重ねたり、生地が破れたかのようなテクスチャーを施したりと、まるでダメージ加工がなされたかのようなデザインのものが多い。独特の雰囲気と、生命力を感じさせるようなデザインは、人の原点に立ち返ったかのような不思議な力を放っている。

今後はアジアはもちろん、ヨーロッパへのグローバル化も視野にコレクションが展開されていくそうだ。

Top image: © Bioworks株式会社
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。