地球外生命体探査の最前線。未知なる生命のサインは「鉱物」に隠されている?

夜空を見上げると、無数の星々が輝き、どこか遠い宇宙に、私たち以外に生命は存在するのか?という根源的な問いに思いを馳せる人もいるだろう。

しかし、宇宙生物学者たちが探求する地球外生命体は、SF映画で描かれるような、私たちと似た姿をしたヒューマノイドとはまったく異なるかもしれない。むしろ、私たちが「生命」と認識することさえ難しい存在である可能性もあるらしい。

地球外生命体の「多様性」を紐解く

宇宙サイエンスメディア「EarthSky」が紹介したところによると、地球外生命体は、地球上の常識を覆す、驚くべき多様性を秘めている可能性が示唆されている。

地球上の生命は、約40億年前に誕生した単細胞生物から進化を遂げてきた。驚くべきことに、人間から植物、微生物に至るまで、すべての地球上の生物は、共通の祖先から派生し、類似した化学プロセスで生命活動を維持している。

この事実を踏まえ、記事内では、地球外生命体も、複雑な多細胞生物よりも、単細胞生物のようなシンプルな形態である可能性が高いと推測されている。なぜなら、過酷な環境下では、複雑な構造を持つ生命体よりも、環境適応能力の高い単細胞生物の方が、誕生しやすく、生き残りやすいと考えられるからだ。

地球外生命探査の新たなフロンティア
「鉱物の進化」に注目せよ

では、私たちとはまったく異なる可能性を秘めた地球外生命体を、どのように発見すればよいのだろうか?その答えは、意外にも私たちの足元にある「鉱物」にあるかもしれない。

地球上の鉱物は、現在約5000種類存在すると言われている。しかし、生命が誕生した40億年前には、わずか100種類程度しか存在していなかったらしい。生命は進化の過程で、骨や貝殻、歯などに鉱物を利用するようになり、生物活動の副産物として、あるいは、生物が死後に残した物質が変化することで、新しい鉱物が生成されるなど、地球上の鉱物の多様化は、生命の進化と密接に関わっているのだ。

たとえば、ジルコンという鉱物は、地球が誕生した約44億年前から存在する、原始地球の環境を知る上で貴重な鉱物。いっぽう、アパタイトは、生物の骨や歯の主要な成分であり、生物活動と密接に関連している。

つまり、他の惑星で、ジルコンのような古い鉱物だけでなく、アパタイトのように生物活動と関連性の高い鉱物が発見されれば、それは、その惑星に生命が存在した、あるいは、現在も存在している証拠となるかもしれないというわけだ。

鉱物の多様性から
未知なる生命の痕跡を探る

遠い未来、人類が地球を飛び出し、本格的な宇宙探査に乗り出す時代が来るかもしれない。その時、私たちが目にするものは、想像をはるかに超えた、地球上の常識では考えられない生命体かもしれない。

しかし、たとえ姿形が異なっても、生命は物質からなり、物質は元素から構成されているという事実は、この宇宙において普遍的な法則であるはずだ。

地球外生命探査の新たなフロンティアは、まさに「鉱物の進化」という新たな視点を開くことで、宇宙における生命の謎を解き明かそうとしている。

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。