41光年先の惑星へ。史上最長28時間観測の結果……

夜空に輝く星々を見上げながら、ふと「この宇宙に、私たち以外にも生命は存在するのだろうか?」と考えたことはないだろうか。 答えはまだ誰も知らない。

しかし、その謎を解き明かそうと、科学者たちは日々探求を続けている。舞台は地球から41光年離れた、TRAPPIST-1星系だ。

7つの惑星、生命存在の可能性

TRAPPIST-1星系は、太陽よりも小さく低温な恒星「赤色矮星」を中心に7つの惑星が回っている惑星系。そのうち地球に近いサイズで、水が液体で存在可能な「ハビタブルゾーン」に位置する惑星が3つも見つかっている。生命誕生の鍵となる「水」の存在の可能性。 TRAPPIST-1星系は、地球外生命体発見の期待が高まる、格好のターゲットだ。

電波望遠鏡が捉えた「宇宙の静寂」

2024年、SETI研究所とペンシルベニア州立大学の研究チームは、TRAPPIST-1星系に対し、アレン望遠鏡アレイ(ATA)を使った28時間に及ぶ大規模な観測を実施。地球外知的生命体が発信している電波信号を捉えようという、壮大な試みだ。「Earth.com」によると、単一目標に対する電波観測としては、史上最長だという。

しかし、結果は「静寂」。

残念ながら、地球外生命体からの明確な信号は確認されなかった。「現時点の技術では、意図的に発信された強い信号以外は検知が難しい」と、ペンシルベニア州立大学のNick Tusay氏は語る。

AI×宇宙:未来は「メタバース地球」

今回の探査は、地球外生命体の発見が容易ではないことを、改めて私たちに突きつけた。しかし、同時に希望も見えてきたのではないだろうか。それは、AIやメタバースといった最新技術の進化。

膨大な宇宙データの解析には、AIの活用が不可欠になりつつある。また、メタバース空間は、将来的に宇宙空間を再現するプラットフォームとしての可能性を秘めている。VRゴーグルを装着し、「メタバース地球」から地球外生命体を探す未来も、そう遠くないかもしれない。

次世代望遠鏡「SKA」が照らす希望の光

そして、2030年代に完成予定の次世代電波望遠鏡「SKA」は、現存する電波望遠鏡の50倍の感度を持つ。より遠く、より微弱な信号を捉えることができるようになれば、地球外生命体の発見に大きく近づく可能性がある。

TRAPPIST-1星系への28時間の挑戦は、私たち人類に宇宙の広大さと生命探求の途路の険しさを改めて教えてくれた。しかし、同時に未来への希望も示してくれたと言えるだろう。「いつか、地球外生命体と出会う」その夢の実現に向けて、人類の挑戦はこれからも続いていく。

👀GenZ's Eye👀

ここ数年のSF映画に変化を感じています。『ブレードランナー』に『スター・ウォーズ』など少し前のわかりやすい宇宙や地球外生命体へのイメージから、『インターステラー』や『アバター』そして『三体』など、リアリティやCGを多用した美しい映像への変化です。Z世代は後者のほうが馴染み深いんですけどね。

さて、宇宙が分析されていくにつれ、現実的な宇宙の姿がすこしずつ浸透しつつあるのかもしれません。数十年後に観測されたデータを元に、メタバース空間で見る超現実的なSFアクション、地球外生命体の姿に、そして彼らの発する声……。いつか私たちは、そのストーリー以上に、そうした“未知の体験”に感動を覚えるのかもしれませんね。

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。