エウロパの海へ:地球の未来を託す、生命探査の壮大な旅路
広大な宇宙のなかで、私たち人類は本当に孤独な存在なのだろうか? この問いに対して、近い将来、明確な答えがもたらされるかもしれない。
舞台は太陽から遠く離れた木星系、氷で覆われた青い星「エウロパ」だ。
氷の下に眠る「もうひとつの地球」
サイエンスメディア「Astrobiology」によれば、木星の衛星エウロパは厚い氷の殻に覆われており、その下に広がる広大な海は温暖かつ栄養分が豊富。そのため生命にとって理想的な環境であり、理論上は人間も"居住可能"であるという。
また、エウロパの海には生命が存在する可能性を後押しする、もうひとつの根拠がある。それは、生命誕生に欠かせない要素「水」「有機物」「エネルギー」の存在がこれまでの探査で示唆されているということだ。
特に重要なのは、海底に「熱水噴出孔」が存在する可能性。地球の深海にある熱水噴出孔は、太陽光が届かない環境でも、地球内部から供給される熱や化学物質をエネルギー源とした独自の生態系が存在することで知られている。
エウロパにも同様の環境が存在するならば、地球とはまったく異なる進化を遂げた生命体が存在する可能性も考えられるが、それは極限環境に適応した、私たちが想像もできないような姿をしている可能性も……。
最新鋭の探査機が挑む
「エウロパ」の海と生命の謎
そして2024年、ついに本格的なエウロパ探査が幕を開けた。「NASA」が開発した最新鋭の探査機「エウロパ・クリッパー」が、ちょうど先月NASAケネディ宇宙センターから打ち上げられた。
エウロパ・クリッパーは、高解像度カメラや分光計などさまざまな観測機器を駆使して、エウロパの表面の詳細な地形や組成、氷の殻の厚さ、海の深さや塩分濃度などを調査。さらに、月から放出されたガスを採取して居住可能性の証拠を探すことも視野に入れているという。
NASAジェット推進研究所の宇宙生物学者Morgan Cable氏は「異星の海がどのようなものか、そこではどのような化学反応が起こっているのかを精密に描写することが重要である」と語る。
今回の探査は地球外生命を探す旅であると同時に、成果次第では私たち自身の存在意義を問い直す旅になり得るかもしれない。今から旅の行方が楽しみでならない。
👀GenZ's Eye👀
エウロパは、ガリレオが発見した木星の第2衛星。「氷の衛星」というSF小説さながらの存在が実際にあるなんて、冒険心をそそられる。最新テクノロジーを駆使して人間が到達できない領域を探査するのだろうが、もし生命体と遭遇できるのなら、その瞬間に人間が立ち会えたらいいな。