日本酒、進化の時。老舗が仕掛けるデジタルアートとの融合
2025年の幕開けを飾るにふさわしい、特別な日本酒が誕生。
1852年創業、現存する最古の市販清酒酵母「きょうかい6号」の発祥蔵として知られる「新政酒造」が、毎年恒例の元旦出荷生酒をリニューアル。「No.6 New Year-type(通称 N-type)」として生まれ変わり、2025年元旦に発売された。
今回の目玉は、パリ五輪の日本代表ユニフォームデザインも手掛けたピクセルアーティストHermippe氏とのコラボレーションだ。デジタルアートと伝統が融合した、新時代の日本酒とは?
「きょうかい6号」発祥蔵の挑戦
受け継がれる伝統と革新
「新政酒造」は、秋田流の伝統的な醸造技術を頑なに守りながら、常に新しい挑戦を続けている酒蔵。「秋田県産米を、生酛・純米造り・木桶仕込みにより、当蔵発祥の六号酵母によって醸す」という哲学のもと、高品質な日本酒造りを追究している。新政酒造の佐藤祐輔社長の言葉通り、伝統と革新のバランスは、多くのファンを魅了しているのだろう。
いっぽう、Hermippe氏は、ピクセルアートというデジタルな手法を用いながらも、どこか懐かしさを感じさせる作品で人気を集めるアーティスト。近年、NFTアートが世界的に注目を集めるなど、デジタルアートは新たな表現方法として確立されつつある。
限定1000本、その味わいと体験は?
「No.6 New Year-type」のボトルには、Hermippe氏による印象的なヘビのピクセルアートがあしらわれている。「6」のアルファベットを模したデザインは、「きょうかい6号」とHermippe氏、両者の個性を象徴しているかのようだ。精米歩合も従来の60%から55%に向上し、味わいはさらに洗練されたものへと進化を遂げている。
2025年1月3日(金)~1月4日(土)には、渋谷PARCOの公園通り広場にて、ポップアップストアを開催。会場では「No.6 New Year-type」の販売(限定1000本)に加え、今回のために制作されたオリジナルアパレルグッズの販売も予定しているそうだが、残念ながらこちらはすでに申し込み終了。
空間設計やアパレルグッズのデザインは、新政酒造と同じく秋田県に拠点を置くクリエイティブスタジオ「ICHINOSAI」が手がけている。
日本酒の未来へ
伝統と革新が紡ぎ出す新たな物語
近年、若者の日本酒離れや、人口減少による市場縮小が危惧されている。
こうした状況を打破しようと、日本酒業界では、海外市場への進出や、若年層に向けた商品開発など、さまざまな取り組みが始まっている。
新政酒造とHermippe氏とのコラボレーションは、伝統を守りながら、時代の変化を捉え、新たな価値を創造していくという、日本酒業界全体の未来を象徴する出来事といえるだろう。