スマホをかざせば、家具の原産地が一目でわかる「TRACEABLE TREE」発表
お気に入りのカフェの、あの温もりのある木のテーブル。もし、それらがどこで育った木で作られたのかが分かったら……。
今春、広島の老舗家具メーカー「土井木工」から、家具選びの未来を変えるサービス「TRACEABLE TREE」が始動する。
スマホでたどる、家具のルーツ
「土井木工株式会社」が発表した「TRACEABLE TREE」は、家具に使われている木材の出身地が分かる、いわば「木の履歴書」。今春以降、同社が地域の木材を使って製作する家具には、すべて固有のコードが刻印されるそうだ。
使い方は簡単。家具に刻印されたコードをスマートフォンで読み取り、専用のWEBサイトにアクセスするだけ。すると産地や樹種などの情報が表示され、自分が使っている家具の木材がどこで育ったのか、そのストーリーを知ることができるという。
同社によると、2018年から広島県・兵庫県産の里山材や街路樹などを積極的に活用し、今後は大阪府産の里山材も使用する予定とのこと。木材の調達から加工までを国内で一貫して行うことで、輸送エネルギーの削減にも貢献している。
SDGs時代、家具選びの新基準
このサービスは、日本の家具業界では前例のない試み。消費者は、自分が選んだ家具の木材が適正に伐採されたものかどうかを確認できるため、国内外で曖昧とされている違法伐採や産地偽装といった問題の解決にも貢献できるだろう。
近年、国際的な森林認証制度が広がりつつある。しかし、認証取得にかかる費用や手続きは決して簡単ではなく、特に中小規模の事業者にとっては大きな負担となっている。
サステナビリティと、愛着を育む選択を
「TRACEABLE TREE」は、消費者に国産木材の価値を再認識してもらうと同時に、林業従事者の保護にもつながる。
家具の背景にあるストーリーを知ることは、ものを大切にする心を育み、ひいては持続可能な社会の実現に貢献する第一歩となるだろう。土井木工の取り組みは、私たち消費者に、サステナビリティと向き合いながら、本当に愛せる家具を選ぶ未来を示してくれている。
気に入った家具の木材の産地を知り、聖地巡礼をしたのち、また新しいお気に入りの家具に出会えたりするかもしれない。日本の森と人を繋ぐ、これぞまさに「一期一会な出会い」なのかもしれない。