食べる瞑想「マインドフル・イーティング」のすすめ

「最近、なんだか疲れやすい」「集中力が続かない」……そんな悩みを抱えているZ世代のあなたへ。じつはその原因、「食べ方」にあるかもしれません。

今、Z世代の間で注目を集めている「マインドフル・イーティング」。それは、五感を意識しながら食事に集中する、新しい食事スタイル。まるで瞑想のように、食材の色、香り、食感、味をじっくりと味わうことで、心と体の状態にポジティブな変化をもたらします。

マインドフル・イーティングとは?

そもそも、マインドフルネスとは「今この瞬間」に意識を向けること。周囲の音や体の感覚、感情に気づくことで、雑念から解放され、心を穏やかにするテクニックです。ストレスフルな毎日を送るZ世代にとって、マインドフルネスは、心の安定を取り戻し、より充実した毎日を送るための、有効な手段と言えるでしょう。

そのマインドフルネスを食に取り入れたのがマインドフル・イーティング。インディアナ州立大学の名誉教授であり、マインドフル・イーティングの分野で重要な貢献者Jean Kristeller氏によって考案された食スタイルのようで、「日本予防医学会」は、以下のように説明しています。

食事の際、五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)をすべて使うことで、今に意識を向けやすくなり、少量の食事でも満足感が得られます。

また、マインドフル・イーティングを紹介する、ハーバード大学T.H. Chan公衆衛生大学院の記述では、「五感を研ぎ澄ませ、食の香り、食感、味に意識を集中させる食事法」と定義。さらに、食材の由来や調理してくれた人への感謝の気持ちを持つことも重要だとも説いています。

現代人の食生活に潜む
「ながら食べ」の落とし穴

忙しい現代社会において、「ながら食べ」はもはや当たり前。スマホをスクロールしながら、テレビや動画を観ながら、または考え事をしながら食事をする。しかし、このような「ながら食べ」には、いくつかのリスクが潜んでいるとする専門家も多くいます。

たとえば、食べることへの意識が低下するため満腹中枢を刺激しにくく、食べ過ぎや肥満につながる可能性が挙げられます。また、集中力低下により咀嚼の回数が減ることで消化不良や栄養吸収の効率低下を引き起こすことも。さらには、せっかくの食事の楽しみや満足感も半減してしまうといった側面も挙げられます。

そこで、今注目を集めているのが“食べる瞑想”とも言われるマインドフル・イーティング。マインドフルネスを食に応用したスタイルです。

パーソナライズ化する“食べる瞑想”

Z世代にとって、マインドフル・イーティングは単なる「食事法」ではありません。それは、食事を通して五感を刺激し、心と体を満たす、特別な時間。彼らならではの感性で、マインドフル・イーティングは日々アップデートし続けているとも言えます。

たとえば、ヘルスコーチのAlyssia Sheikhが運営する「Mind Over Munch」では、健康と栄養を意識した豊富なレシピを提供。クイックミール、予算に優しい選択肢、グルテンフリーやビーガンなど、食スタイルへのアプローチも豊富。健康的な食事とマインドフルな実践を組み合わせたい人を中心に人気のサイトです。

また、近年では食べたものや感想を記録できる食事記録アプリも人気を集めており、「Eat Right Now」や「Mindful Eating Coach」など、AIを活用してパーソナライズされた食事指導を提供するアプリも登場しています。

このほか、全世界の総ユーザー数が3,500万人を突破した、トルコ発の瞑想アプリ「Meditopia」は、手軽にマインドフルネスを実践できるツールとして、若者たちの間で絶大な支持を得ています。

このように、テクノロジーを駆使して、効率的にマインドフルネスを取り入れようとするZ世代の姿勢が、ここからも見て取れます。

マインドフル・イーティングが創造する
ウェルビーイングな未来

マインドフルイーティングは、単なるダイエット法やストレス軽減法ではありません。それは、食と向き合い、心と体を大切にすることで、自分自身と向き合う時間を持つこと。そして、その積み重ねが、より健康で持続可能なライフスタイル、そしてより良い社会へと繋がっていくと考えることもできます。

「健康経営」を推進する企業は多く、マインドフルネスを研修のひとつとして導入する企業も増加してきました。マインドフルイーティングは、個人レベルでの健康増進だけでなく、企業の生産性向上や、ひいては社会全体のウェルビーイング向上にも貢献する可能性を秘めていると言えるでしょう。

Top image: © iStock.com/Xsandra
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