デジタルデトックスは本当に効果があるのか。効果は集中力アップやリフレッシュだけじゃない?
現代人にとって、スマホやインターネットはもはや生活の一部だ。常に情報が溢れ、いつでも誰かと繋がれる便利さは、一方で「スマホ依存」「SNS疲れ」といった新たなストレスを生み出している。
そんな現代人の不安につけ込むように、近年「デジタルデトックス」という言葉と共に、関連ビジネスが急成長している。デジタルデトックスとは、一定期間デジタル機器から距離を置くことで、心身のリフレッシュを図ること。瞑想アプリや、スマホの利用時間を制限するアプリが登場する一方で、テクノロジーから完全に切り離されたデジタルデトックスのためのリトリートも人気だ。
デジタルデトックス市場は、2023年に約3.9億ドルだった市場規模が、2032年には約194.4億ドルに達すると予測されているほど、大きな注目を集めている。実際、「デジタルデトックス リトリート」の検索数は、世界的に見て2024年には前年比で50%も増加したという。(引用元記事:Dazed Digital)それだけ多くの人が、デジタルとの向き合い方に悩んでいるということだろう。
デジタルデトックスは依存の根本的な解決になるのか?
しかし、デジタルデトックスは本当に効果があるのだろうか?
イギリスのキングス・カレッジ・ロンドンのデジタル文化のシニア講師兼准教授であるDr. Zeena Feldmanは、デジタルデトックス産業について「資本主義が、私たちの文化的不安を収益化する完璧な例だ」と指摘する。
「テクノロジー業界は、ユーザーの不満を認識した結果、デジタルデトックスアプリ、マインドフルネスアプリ、スクリーンタイムトラッカーといった新しい商品を売り込もうとしている。皮肉なのは、テクノロジーによって生まれた問題を、テクノロジーで解決しようとしている点だ」(Dr. Zeena Feldman)
デジタルデトックスは、一時的にスマホから離れることで、デジタル依存の辛さや不毛さに気づくきっかけになるかもしれない。しかし、それは根本的な解決にはならない。
仕事もプライベートもスマホひとつで完結してしまう現代において、デジタルと完全に決別することは現実的ではないからだ。重要なのは、デジタルとの適切な距離感を見つけることだろう。
本当に必要なのは、オフラインにおける「過ごし方のデザイン」
デジタルデトックスの目的は、単にスマホの利用時間を減らすことではない。デジタルから離れることで、自分と向き合い、本当に大切なものに気づくことが重要だ。
たとえば、いつもはスマホでニュースをチェックしている時間を、読書や散歩、家族との会話に充ててみる。デジタルから離れることで、今まで意識していなかった「自分の時間」を大切にできることに気づくはずだ。
デジタルデトックスは、自分を見つめ直し、人生をより豊かにするためのきっかけを与えてくれる。
デジタルデトックスの先にあるもの:ウェルビーイングと自己成長
イギリスのキングス・カレッジ・ロンドンのDr. Zeena Feldmanは、デジタルデトックス産業について「資本主義が、私たちの文化的不安を収益化する完璧な例だ」と指摘する。
「テクノロジー業界は、ユーザーの不満を認識した結果、デジタルデトックスアプリ、マインドフルネスアプリ、スクリーンタイムトラッカーといった新しい商品を売り込もうとしている。皮肉なのは、テクノロジーによって生まれた問題を、テクノロジーで解決しようとしている点だ」(Dr. Zeena Feldman)
Dr. Zeena Feldmanの指摘は、デジタルデトックスの本質を突いている。デジタルとの付き合い方に悩み、心身のバランスを崩してしまう人が多い一方、その解決策として提示されているものが、さらにテクノロジーに依存したサービスであるという矛盾。
本当に大切なのは、デジタルデトックスを通して「自分にとって心地よいバランス」を見つけることではないだろうか。
デジタルから離れる時間を意識的に作り、自分と向き合うことで、より充実した日々を送れるはずだ。