Z世代に広がる「投稿ゼロ」トレンド。承認欲求からの解放を目指して

かつてソーシャルメディアでは、私生活を詳細に公開する「過剰な共有」が一般的だったかもしれない。

しかし現在、Z世代を中心に、見せるための投稿をやめ、オンライン上で静かな存在であることを選ぶ動きが加速しているという。

『Financial Times』が50カ国のオンラインユーザー25万人を対象に行った調査によると、世界的にSNSの利用時間が減少傾向にあるとも報じられている。こうした流れの中で、「Posting Zero(ポスティング・ゼロ)」という新たな文化的トレンドが注目を集めているようだ。

「あえて投稿しない」という意思表示

「Posting Zero」という言葉は、『The New Yorker』のコラムニストであるカイル・チャイカ氏によって生み出されたとされる。

この言葉には、大きく分けて二つの意味が含まれているようだ。ムンバイの臨床心理学者Rimpa Sarkar博士によると、一つは「SNS上でアクティブでありながら、写真やストーリーなどを一切投稿しないという意識的な選択」を指す。

他人のコンテンツを見たり、個人的なメッセージのやり取りはするものの、自らの生活を公共のショーとして晒すことをやめる行為だ。

これにより、自分の物語を他人の目から取り戻すことができるという。

「見るだけ」と「虚無の投稿」という二つの側面

「ポスティング・ゼロ」には、大きく分けて二つのアプローチが存在するようだ。

一つは、アカウントは維持しつつも自らの投稿を一切行わないスタイル。他人の投稿を見たり、親しい友人との個人的なやり取りには使うものの、不特定多数に向けた発信はストップする。

これにより、プライバシーを守りながら、デジタルなつながりを維持する「いいとこ取り」が可能になるというもの。

もう一つは、あえて「空白」や「無意味な画像」を投稿するスタイルだ。

真っ白な画像や無音の動画などをアップすることで、言葉にならない疲労感や、「今は放っておいてほしい」というメッセージを表現しているケースがあるとのこと。

これはデジタル上のアイデンティティを一時的にリセットするための、感情的な整理整頓の一環とも解釈できるだろう。

健全なメンタルヘルスのための「境界線」

専門家は、このトレンドが不安やストレスを軽減する有効な手段になり得ると評価している。他者との比較や「いいね」の数に一喜一憂する生活から距離を置くことで、精神的な平穏を取り戻せるかもしれない。

ただし、その沈黙が現実逃避や孤立のサインになっていないか注意が必要だとも指摘されている。

重要なのは、SNS上での沈黙を「健全な境界線」として機能させることだという。オンラインで静かに過ごす分、オフラインでのリアルな休息や人間関係を充実させることが、心のバランスを保つ鍵となるはずだ。

Top image: © iStock.com/recep-bg
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。