Z世代男性の「一人前への欲求」と満たされない朝の時間。タイパ生活の背景
「タイパ(タイムパフォーマンス)」が広く浸透し、動画の倍速視聴や「ながら食べ」といった行動はもはや珍しいものではなくなった。特にZ世代の若者たちにおいて、この傾向は顕著だ。
株式会社クロス・マーケティングが実施した調査から、Z世代男性がタイパ生活を送る背景にある心理と、彼らが本当に求めているものが見えてきた。
社会人として認められたいという欲求
クロス・マーケティング社が首都圏在住の23歳から29歳の男性を対象に行ったオンライングループインタビューによると、Z世代男性のタイパ生活の背景には、特有の心理状況があるようだ。
社会人としてのキャリアがまだ浅い彼らは、一人前として社会に認められたいという承認欲求を抱えている。
しかし、不慣れな仕事に追われる中で、プライベートに使える時間は限られてしまう。コロナ禍の学生時代に比較的自由な時間を過ごしてきた経験も相まって、社会人生活における時間の制約をより強く感じているのかもしれない。
調査の分析によれば、彼らにとってタイパを重視した行動は、タスクにかかる時間を短縮し、自分自身の時間、その質と量を向上させるための手段。
それは、「自分らしくありながら、社会的に認められる存在でありたい」という根源的な欲求を満たすための選択だという。


求められる休息と、満たされない朝の時間
同社が全国の20代から60代の男女2,000人を対象に実施した定量調査では、Z世代男性の具体的なニーズがより鮮明になった。
「仕事終わりの帰宅後はゆっくり過ごしたい」が32%、「前日の疲れは寝ているうちに解消したい」が30%、「休日の時間を有効に使ったと感じたい」が29%と、心身の休息やプライベートの充実を求める声が上位を占めた。
また、男性全体と比較してZ世代が特に強いニーズとして、「社会人として一人前になった自信を持ちたい」「通勤時間で自分のためになる勉強をしたい」「仕事の日は家事に時間をかけたくない」といった項目が挙げられている。
仕事と自己投資、そしてプライベートのバランスを効率的に取りたいという意向がうかがえる。
しかし、これらのニーズがすべて満たされているわけではない。ニーズの強さとその未充足度を掛け合わせると、「朝は気持ちに余裕を持ちたい」「朝はゆったりと気持ちよく目覚めたい」「通勤・通学を楽にしたい」といった、特に朝の時間に関する項目で、理想と現実のギャップが大きいことが明らかになった。


タイパの先の本当の願い
この調査結果は、Z世代男性が単に時間を切り詰めることだけを目的としているわけではないことを示唆している。
彼らのタイパ生活は、社会的な役割を果たしつつ、自分らしさを保つための現実的な工夫と言えるだろう。そしてその根底には、特に忙しい平日の朝に、もう少しのゆとりと安らぎを求める切実な願いが横たわっているようだ。

■調査概要
Step1
調査手法 : オンライングループインタビュー(Active Listening Interview)
調査地域 : 首都圏居住者
調査対象 : 23~29歳男性 6名
調査期間 : 2025年2月20日(木)
Step2
調査手法 : インターネットリサーチ
調査地域 : 全国47都道府県
調査対象 : 20~69歳の男女
調査期間 : 2025年5月14日(水)
有効回答数 : 本調査2,000サンプル
※調査結果は、端数処理のため構成比が100%にならない場合があります
◆詳細はこちらから
https://www.cross-m.co.jp/service/marketing-research/active-listening-interview






