ほぼ全世代が一番不安に感じるのは「経済」、若い世代は「SNSによる不安助長」も
物価の高騰、先行きの見えない社会情勢。漠然とした、あるいは具体的な不安を抱えながら日々を過ごす人は少なくないだろう。
築地本願寺が2025年3月に全国の18歳から69歳の男女1400人を対象に実施した「不安に関する意識調査」から、現代人が直面する不安の正体と、世代間の違いが浮き彫りになった。
ほぼ全世代を覆う「経済的な不安」
今回の調査で最も顕著だったのは、経済的な不安の広がりだ。
60代女性を除く全ての年代で「経済面」に関する不安が1位となり、昨年度の調査で男性40〜60代のトップだった「自身の身体の健康」を上回った。
特に、米をはじめとする「物価の上昇・物価高」が、世代を問わず生活に重くのしかかっている様子がうかがえる。回答者からは「金銭的な余裕がない中で勉強を続けていけるか不安」「物価が上がりいつ病気になって仕事をクビになるか分からない恐怖」といった切実な声が寄せられたという。
また、10代から40代の現役世代では「自身の心の健康」も不安要素の上位に入っており、経済的なプレッシャーがメンタルヘルスにも影響を与えている可能性が示唆される。



SNSが若者の不安を増幅
調査では、特に18歳から29歳の若年層600人に焦点を当て、彼らの不安の実態を深掘りしている。
その結果、若者にとって身近なツールであるSNSが、不安を助長する一因となっていることが明らかになった。「SNSを見ると不安になることが多い」と感じている若者は約3割にのぼり、この割合は30代以上の世代と比較して2倍以上となっている。
さらに、SNSで不安を感じやすい層は、「裏アカウント」や複数のアカウントを使い分け、SNS上では本来の自分とは異なる人格を演じている傾向が強い。
この傾向はリアルな生活にも及んでおり、「本音を隠して建前で話すことが多い」「周囲に合わせて本当の自分を隠している」と回答する割合も高いとのことだ。友人関係や恋愛、将来への不安といった悩みを抱える中で、SNSが必ずしも心の拠り所とはなっていない現実が見えてくる。
ちなみに、若者が最も悩みを相談する相手は「母親」が最多という結果だった。



孤立する心に寄り添うために。
築地本願寺の「僧侶僧談」や「テンプルモーニング」
深刻な不安や悩みを抱える人は、調査対象全体の32.3%にのぼる。特に30代から40代の男性は、不安を感じつつも「頼れる人が少ない」傾向にあるようだ。
この調査結果を受け、築地本願寺宗務長の竒山明憲氏は、人々がスマートフォンに依存し、生身の感覚が希薄になっている現状に懸念を示している。
同寺では、こうした社会状況を踏まえ、誰でも気軽に僧侶に相談できる「僧侶僧談」や、月曜の朝に心と体をリフレッシュする「テンプルモーニング」といった、人々が心を開き、拠り所とできるような取り組みを行っている。
今回の調査は、現代社会が抱える課題をデータで示すとともに、孤立しがちな心に寄り添う場の必要性を改めて問いかけているのかもしれない。

[調査概要]
・調査対象:18~69歳男女 計1,400名
首都圏(東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県)在住
・調査時期:2025年3月
・調査方法:インターネット調査
※リリース内の調査データについて:小数点以下を四捨五入しており、合計値が100%にならない
場合もあります。※年代・性別などのグラフをご希望の方はお問い合わせください。






