Z世代がアルコール消費を再活性化中。経済不安の中でも市場回復を後押し

世界的な生活コストの上昇を受け、アルコール市場は冷え込む一方。

消費者の財布の紐が固くなるなか、飲食の機会も減少し、市場全体には慎重なムードが漂う中、その水面下で注目すべき変化が起きているようだ。

かつて「アルコール離れ」の象徴とされたZ世代が、再び飲酒シーンに戻りつつあるという。

市場に戻るZ世代、多様化する新しい飲酒スタイル

IWSRの調査によれば、世界の主要市場でアルコール消費への意欲が低下する一方、Z世代の飲酒参加率はむしろ上昇しているというから興味深い。

あるデータでは、この2年間で米英豪印などの国々で10ポイント以上伸び、2025年3月時点では73%に達したとの報告も。

彼らの特徴は、特定のジャンルに固執しない柔軟な飲酒スタイル。従来の世代よりもスピリッツ類への関心が高く、多様な選択肢を試す傾向が強いらしい。

また、家飲みに偏らず、バーやレストランといった外での飲酒機会も積極的に求めている。節度ある飲酒という大きな流れは維持しつつも、過度な自制よりは状況に応じた楽しみ方を選ぶ。

この柔軟性が、停滞気味の市場に新たな弾力性をもたらすかもしれない。

インドとブラジルが牽引、都市部とプレミアムビールが鍵に

地域別に見ると、市場の成長を力強く牽引しているのがインドとブラジル。

インドでは都市部の高所得なミレニアル世代やZ世代を中心に、飲酒の頻度と支出額の両面で顕著な増加が見られるという。

一方のブラジルでは、高価格帯のワインやスピリッツから、比較的手に取りやすい「プレミアムビール」へと消費の中心が移行しつつある。

2024年にはプレミアムビールの出荷量が前年比で14%も増加したとのことで、品質へのこだわりと価格のバランスを重視する消費者の姿が浮かび上がる。この傾向はフランスやスペインでも確認されているようだ。

慎重な市場に変化の兆し。Z世代が描くアルコールの未来

全体としてアルコール市場は依然として慎重な姿勢が続くものの、Z世代の活発な動きは無視できない変化の兆し。特に外食産業やプレミアムビール市場において、彼らの消費行動が新しいモデルを形作り始めている。

高所得層の若者たちが飲酒機会を再構築していくこの流れが定着すれば、市場全体が再び成長軌道に乗る可能性も。

分散化しながらも着実に進むこの地殻変動こそ、アルコール産業の未来を見通す鍵となるだろう。

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