盗まれた歴史を奪還せよ。アフリカ文化財を取り戻すゲーム『Relooted』
欧米の博物館に収蔵された、植民地時代の略奪品。その文化財をハイテクな潜入作戦で“盗み返す”という、挑発的なコンセプトを持つビデオゲームが注目を集めている。
南アフリカのゲームスタジオが、歴史の不都合な真実をエンターテインメントの力で問い直す。
奪われた歴史を取り戻すステルスアクション『Relooted』
ヨハネスブルグに拠点を置くNyamakopが開発した『Relooted』は、ステルスアクションゲームだ。
プレイヤーは未来のアフリカンクルーの一員となり、厳重に警備された欧米の博物館や個人コレクションに忍び込んで植民地時代に略奪された「実在のアフリカの工芸品」を奪還する任務に挑む。
ゲームプレイは、パルクールやスピードランに触発されたスピーディーなアクションが特徴で、環境を活かしたパズルや、歴史的背景に基づいた重厚な物語が魅力だという。
ゲームで語られる、工芸品の物語
『Relooted』では、エチオピアのマクダラ写本やザンビアのブロークンヒル・スカルなど、実在する70点の工芸品がターゲットとなる。プレイヤーが回収した工芸品は、南アフリカにあるクルーの隠れ家に持ち帰ることが可能。
そこでは、それぞれの品が持つ歴史や文化的意義、そしてそれらがどのようにして奪われたのか、その背景を深く知ることができるようだ。
開発チームはこの文化的側面を極めて重視している。クリエイティブディレクターのベン・マイヤーズ氏は『Epic Games』の取材に対し、「略奪された経緯に素晴らしい物語を持つ工芸品を探した。なぜ人々にとって重要だったのか、それらに関連するあらゆることを」と語る。
例えば、ケニアのンガジ・ドラム。破壊されたと考えられていたこの太鼓は、実際には100年以上にわたり大英博物館に保管されていた。
マイヤーズ氏によれば、2010年代にこの太鼓を見た最初のケニア人は、元々それを所有していた王の子孫だったという。これらは過去の遺物ではなく、今なお息づく文化そのものなのだ。
アフリカから発信する新たな物語
本作を開発するNyamakopは、当初3人で始まったスタジオだったが、今ではナイジェリアやエチオピア、ガーナなどアフリカ各地から集まった30人規模のチームへと成長を遂げたという。
アフリカに住む人々にとってプロとしてゲームを制作する機会はまだ少なく、アフリカに根差した物語を描く本作のようなプロジェクトは、現地のクリエイターにとって大きな魅力となっているだろう。
ゲームの正式な発売日はまだ発表されていないものの、Steam、Xbox Series X|S、そしてEpic Games Storeではウィッシュリストへの登録が可能。






