『天才犬』に共通する意外な行動パターンとは。言葉の習得を支えるのは“社交性の高さ”

数多くの単語を即座に覚える特別な犬たちは、学術的に「ギフテッド・ワード・ラーナー」と呼ばれる。

一般にこうした能力は、優れた記憶力や学習能力の賜物だと考えられがちだ。

しかし、最新の研究がその背景に人間とのコミュニケーションを求める強い動機があることを突き止めた。

記憶力の差を上回る『天才犬』特有の振る舞い

オーストリアのウィーン獣医科大学に所属する動物行動学者の Andrea Sommese 氏が率いる研究チームは、並外れた語彙力を持つ犬と一般的な犬の違いを検証した。

対象となったのは、すべてボーダーコリー。

2週間にわたる実験では、名前を付けた玩具とそうでない玩具を用意し、犬たちの反応を観察する手法が取られた。興味深いことに、自由な探索時間において特定の物品に対する執着に大きな差は見られない実態が浮かび上がっている。

いずれの犬も新しい玩具を好む傾向にあり、単に物品を記憶する力だけが際立っているわけではないようだ。

人間を遊びの輪に巻き込む社交スタイルの違い

研究で明らかになった決定的な差は、物品への執着ではなく、飼い主に対する姿勢に現れている。語彙力の高い犬たちは、新しい玩具を手に入れると、それを自ら飼い主の元へ運び、遊びを促す行動を頻繁に取ることが確認された。

これに対し、一般的な犬たちは飼い主のそばに寄ることはあっても、玩具を介して相手を積極的に遊びに誘い込む姿勢は限定的な反応に留まっている。

人間の乳幼児が物を指し示して周囲の注意を引こうとする初期のコミュニケーションと、共通の性質を持つ可能性が高い。

飼い主との関係性が育む高度な学習能力

今回の発見は、犬の知能を語る上で「人間との相互作用」がいかに重要かを再認識させるもの。

もちろん、社交的な動機だけが語彙学習の直接的な原因であると断定するには、さらなる検証が欠かせないが、注目すべき焦点が玩具から“人間と犬の関係”へと移ったことには意義があるだろう。

犬が言葉を覚えるのは、大好きなパートナーと同じ時間をより豊かに共有したいという切実な願いの現れなのかもしれない。

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