ナイキが発表した空気で温度を操る『Therma-FIT Air Milano』、計算アルゴリズムが生み出すスポーツテックの到達点
ミラノで開催されたイベントにて、ナイキが最新のエンジニアリングを駆使したジャケットを公開した。
建築デザインセンターである「Dropcity」の展示空間にて、未来のウェアのあり方を提示するものとなっている。
空気そのものを断熱材として機能させる最新ウェア
ナイキが発表した最新のジャケットである『Therma-FIT Air Milano』が、イタリアのミラノでお披露目された。
本製品は、適応・膨張・調節を意味する『A.I.R』と呼ばれる独自の技術を搭載しているという。
内部のバッフルに空気を注入、または排出することで、衣服内の温度を自在にコントロールできる仕組み。
ファッションメディア『Dazed』が報じたところによれば、パーカーのような軽さから厚手のパファーまで、断熱性能を段階的に変化させることが可能だそう。
従来のウールやダウンに頼らず、空気そのものを断熱材として利用する設計が、ウェアの概念を塗り替えている。

二十年の研究と計算アルゴリズムが生んだ複雑な構造
開発の背景には、約二十年間にわたる空気注入型ウェアの研究成果があるらしい。
Nikeのアパレル・イノベーション部門で専門家を務めるDanielle Kayembe氏は、素材のブレイクスルーが重要だったと明かしている。
薄く柔らかい生地でありながら、高い気密性を保持する特殊な素材の発見が、開発の起点となったとのこと。
また、プロダクトデザイン担当副社長のDaniel Farron氏によれば、3Dモデリングや計算アルゴリズムを用いた設計が採用された模様。
膨張時の圧力を分散させるため、表面のドットパターンはすべて数学的に配置されているという。

スポーツテックの展望
デジタル技術と物理的な機能が融合したこのウェアは、2026年の冬季大会でも注目を集めている。
米国代表チームの選手たちが、メダルスタンドなどの公の場で着用する予定らしい。
ファッションとテクノロジーの境界が曖昧になる中、衣服が環境に応じて自律的に変化する時代が近づいている。
高度な計算に基づいたデザインが、極限状態で戦うアスリートを支える大きな一助になるのかもしれない。






