こんなときどうする?会社で役立つコミュニケーション術7つ
自分で考えてくれない部下、年上の部下、怖い鬼軍曹上司など、プレイングマネジャーが相手にしなければならない相手は様々です。自著『プレイングマネジャーの教科書 結果を出すためのビジネス・コミュニケーション58の具体策』から、彼らとのコミュニケーションを円滑に行うためのヒントを紹介しましょう。
01.
「伝書バト」部下には
根気よくていねいな質疑応答
「自分で考えて動いてくれない」「教えてもなかなか覚えない」「厳しく叱るとへこんでしまう」。
こうした、伝書バトのように上司とクライアントの間を往復して意見を運んでいるだけで、学びへの意欲がない部下はよくいます。しかし、この態度では、叱られても「言われた通りに動いているのに」と意味を理解できません。そんな彼に必要なのは、上司の「解きほぐし」のコミュニケーションです。
「無理だと言われました」「どうして?」「予算的に無理ということでした」「予算はいくらなのか伺った?」
こうした質疑応答を、根気良く、ていねいに積み重ねることで、自分で動くためのポイントがわかるようになっていきます。時間はかかりますしまどろっこしいですが、続けていけば、徐々に部下は動けるようになります。一見遠回りのようですが、結果として費用対効果の高いコーチングだと思っています。
02.
プライドの高い部下には
ロジックで応戦
質問せずに、すべて自分の判断で進めてしまう。自分を「できる」と思っているので、自分から確認したり相談しに来ない。
自分に自信のある部下の特徴のひとつです。したがって指示を勘違いして間違って突っ走ることも多くあります。
このように自分を「できる」と思っている部下には、トラブルが大きくなる前に上司の方から指示確認のコミュニケーションを仕掛けることが必要です。ポイントは、口頭での確認だけではなく、紙に残したり、メールで「ログを残す」こと。
プライドの高い部下にも、「このメールのとおりリマインドしましたよね?」と冷静かつロジカルに指摘すれば、非を認めてくれます。プライドの剣には、ロジックの盾が一番です。
03.
年上の部下の仕事は
結果にのみフォーカス
年上の部下とのコミュニケーションは難しいものです。若手に対するコミュニケーションと同じ方法であたろうとすると、彼等のプライドを傷つけることにもなり、関係不全等のトラブルになりかねません。
経験豊富な彼らに対しては、若手と同じような細かい進捗確認は不要です。仕事の進め方は基本的にまかせ、デッドラインと数値目標という客観的かつロジカルな結果にのみフォーカスして管理するのが効果的です。
数字という客観的な指標だけにフォーカスすれば焦点もボケませんし、彼らも納得してくれるので叱る必要もありません。
04.
人の部下に
直接コンタクトしない
他部署と連携する業務に携わっていたり、部署間の垣根が低いオープンな社風でも、他部署の部下に直接コンタクトしてはいけません。
なぜならその部下にも上司がいます。あなたの仕事よりも先にしてほしい仕事があるかもしれませんし、指示系統が崩れると「誰の言うことを聞けばいいのかわからない」と混乱をきたすこともあるでしょう。
したがて、人の部下に仕事を依頼したいときは、むしろ先方の上司と先に手を握っておいたほうが仕事の優先順位を上げてもらえて、業務がスムーズに進むかもしれません。
メールのやりとりの際には、必ずその人の上司もCCに入れるといった細かい配慮もしておきましょう。
05.
朝令暮改上司の意見は
思い切って「やらない」
上司の部長の指示でプランAからBになったのに、調整して動き出したら「やっぱりA」と言われた…。
このような「朝令暮改型」の上司は、頭の回転が早く、アイディア豊富な人。「ひらめいたアイディアを忘れないうちに誰かにしゃべっておきたい」という衝動で部下に指示をしてしまうのです。もちろん悪気などありません。
「アイディアを言っているだけかも」と感じたら、大胆にもその指示を寝かせ、2、3日様子を見てみましょう。寝かせているうちに特に上司から反応がなければ、やっぱりアイディアを話しているだけだった、と見極められたことになります。
もちろん本当の指示の場合もありますから、「一昨日の件ですが」とさりげなく探りを入れたり、いつでも動けるように心づもりをしておく必要もあります。自分の上司のタイプを理解して、コミュニケーションを活用しながら上手に活用しながら上手に対処していきましょう。
06.
鬼軍曹上司の
「鬼化」防止策って?
上司のタイプとして、あたりが厳しく要求が高く、話し方すらコワイ、という「鬼軍曹タイプ」の人がいます。しかし彼らの鬼軍曹ぶりは、仕事と部下に対する本気度の裏返しであり、大変なエネルギーを使っています。鬼軍曹も鬼にならなくていいならそれに越したことはないのです。
そんな上司を「鬼」にしないために、部下が日常で心がけて欲しいコミュニケーションのポイントがあります。
①大事なことは口頭で伝える「逃げ」の姿勢は見破られます。少なくとも上司が席にいるのであれば、怖くても口頭で伝えるようにしましょう。②なんでもかんでも報告しない上司はプレイングマネジャーのあなたに期待していあす。自分で判断すべきこと、動けることを増やしましょう。叱られるのを恐れて細かく報告したり、いちいち相談していては、より上司を「鬼化」させてしまいます。③叱られたら「間」をとる上司が怖いからといって、言い訳や言い逃れをしてはいけません。まずは「申し訳ありません」の一言をしっかりと伝えましょう。そして少し間をとります。上司と部下が非を理解しているとわかれば、少し安心してくれます。そこで、自分のペースを取り戻したら、あなたが話す番です。④さりげなく気づかう仕草を身につける鬼軍曹上司は彼らなりに周囲に気をつかっています。部下に怒られている上司は孤独なものです。したがって目が合ったときには慌てて逸らしたりせずに、「聞いていますサイン」を出すこと、そして話しかける機会を作ってください。そうすれば鬼が鬼でなくなる日は必ずやってきます。
『プレイングマネジャーの教科書 結果を出すためのビジネス・コミュニケーション58の具体策』
コンテンツ提供元:田島弓子
ブラマンテ株式会社代表取締役。IT業界専門の展示会主催会社などでマーケティング・マネジャーを務めたあと、1999年マイクロソフト日本法人に転職。在籍中、個人および自身が部長を務めた営業グループでプレジデント・アワードを2回受賞。2007年にブラマンテ株式会社を設立。組織で働く人のためのキャリアやコミュニケーションについて、研修、セミナー、執筆などの活動を行っている。現在、『プレイングマネジャーの教科書』シリーズ第二弾を執筆中。