監督が変わっても「キャプテン」に選ばれ続ける男・長谷部誠

運命のシリア戦は
今夜キックオフ!

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本日2015年10月8日22時キックオフのサッカーW杯アジア2次予選。日本はアウェイの地でE組首位に立つシリアと対戦。個々の力で日本が上回っているのは間違いないが、“能力の差”がシンプルにピッチに反映されないのがアジアの戦い。この試合も、35度近い気温や劣悪なピッチコンディションといった過酷な条件下で行われるため、油断すると足元をすくわれる可能性も充分にある。

こうした状況で重要になるのが、何が起きてもチームを落ち着かせられる、ベテラン選手の存在。とりわけ、チーム最年長の長谷部誠には大きな期待がかかる。

4人の代表監督が
長谷部をキャプテンに指名

改めて伝えておくと、彼は歴代日本代表の中で、主将としてもっとも多くの試合に出場しているプレーヤー。今夜の試合においても、キャプテンとしてスタメンに名を連ねるのは確実だろう。

そもそも、彼が初めて日本代表のキャプテンマークを巻いたのは、2010年5月30日のイングランド戦。当時の指揮官・岡田武史が直近の連敗を受け、重たい流れを変えるべく大抜擢した恰好だ。

W杯南アフリカ大会の開幕直前。しかも、チームには、それまでキャプテンを務めていた中澤佑二、川口能活といったベテラン選手がいる。そうした状況の中で長谷部を新たな主将に指名した岡田氏の勇気ある選択は、まさに英断。“発掘”されたキャプテンシーは、ますます磨かれていき、結果的にアルベルト・ザッケローニ、ハビエル・アギーレ、そしてヴァイッド・ハリルホジッチと計4人の代表監督に重用されることになる。

一度はキャプテンマークを
譲ろうとしたが・・・

とはいえ、当の本人は、2014年のW杯ブラジル大会終了後、「これからは若い選手がキャプテンをやるべきだと思う」と下の世代にキャプテンマークを譲る意志を表明していた。

これを受け、「自分が今までサッカーをやってきた中でハセさんは一番のキャプテン。プレーだけじゃなく、周りに目を配れる。気持ちの面も本当に素晴らしいです」とコメントしたのは、代表だけでなくクラブでもチームメイトだった清武弘嗣。

結局、アギーレからキャプテンに指名されると、「個人的にいろいろ思うところはありますが、指名されることは光栄なこと。与えられた役割をしっかり全うしたい」と覚悟を決めたのだった。

“選ばれ続けること"の難しさ

サッカーの世界では、新たに就任した監督が「自分のカラー」を出したがることも少なくない。まだ選手のパーソナリティを充分に理解していない就任直後こそ、前監督のチョイスを踏襲するものの、次第に“好み”が色濃くなっていく。ましてや、自身のメッセージの代弁者となるキャプテンは尚更。それでも、どれだけ指揮官が変わろうと、長谷部は変わることなく選ばれ続けている。

「今まで多くのチームを率いてきたが、本物の主将はマルディーニ(元イタリア代表の世界的名選手)と長谷部だけ」

「経験を声で伝え、チームを落ち着かせることができる。長谷部は生まれながらのリーダーだ」

ザッケローニはそう寵愛し、アギーレは天性の才能に賛辞を述べた。

ハリルホジッチは就任してまだ半年。もしかすると、まだ見極め段階の可能性も否定できない。しかし、今夜の試合で、経験豊富な長谷部の力を必要とすることには変わりないだろう。苦しい試合展開になる可能性もあるだけに、ぜひとも“生粋のリーダー”のプレーに期待したい。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。