自分の限界を超える「40%ルール」とは?米国特殊部隊・ネイビーシールズ直伝
長距離マラソンがきっかけで知り合った、ネイビーシールズ隊員を口説き落とし、1ヶ月間の共同生活を体験したJesse Itzler氏が「Big Think」に私見を述べている。
肉体ではなく精神を鍛えるためのレッスン、心の壁を超えるためのネイビーシールズ流、"40%ルール"に注目だ。
“鉄の意志”を持つ男
ネイビーシールズとの出会い
サンディエゴで開催された100マイル(160キロ)マラソンに6人チームのリレー形式で参加した私は、全工程をたったひとりで挑もうとしているネイビーシールズの青年に出会った。
基本的に大会側からのサポートが何もない長距離マラソンだ。参加ランナーたちは自ら補給品などを携行する必要がある。私たちはテントもあれば、専属のマッサージ師も同行させていた。一方、彼は折りたたみの椅子にペットボトルの水とクラッカーのみ。こんなストイックな長距離ランナーを見たことがなかった私は、特殊部隊所属の青年に興味を持った。
見た目からして体重100キロを超える彼は、70マイル(112キロ)を過ぎた地点でレースを終えた。後になって知ることだが、この選択は正しいかった。
なぜならこの時、青年の両足の軟骨は折れ砕け、腎臓にも異常が発生していた状態だった。オフィシャルドクターがいたなら、間違いなくドクターストップだったろう。
口説き落として
1ヶ月間限定の
共同生活がスタート
大会が終わった後も、青年のことが忘れられずにいた私は、Google検索で彼の名前をヒットさせ、心のままに衝動で彼を訪問していた。
快く招き入れてくれた彼との会話を通して、ネイビーシールズという特異な体験を通して形成された、彼の思考から学ぶべきことがたくさんあると直感的に思った。私は彼に1ヶ月間限定で、自分の家族と共に暮らさないかと提案。私の熱意に押され、彼もそれを受け入れてくれた。
家族にも恵まれ、仕事も順調にいっていた私だが、慢性的なマンネリを感じていたこともまた事実。日々のルーチンワークはいい面もあるが、マンネリにも陥りやすい。まったく違う道を歩んできたネイビーシールズとの共同生活は、マンネリを脱するための格好の機会でもあったのだ。
「もう限界…」は、
自分の弱さが決めている
彼が我が家にやってきた初日、私はこう質問された。「何回くらい懸垂できそうかい?」ちなみに、彼らの日課は、1日100回、しかも休みなく一度にやってのけるそうだ。
腕力に自信のない私は8回こなすのが精一杯だった。すると、「30秒だけ休んでもう一度トライしてみよう」の声が。言われるがままに実行するも、先ほどよりも回数が落ちて6回だけ。ここで、まさかの声がかかる。「さあ、30秒後にリトライだ」。
もちろん結果は悪くなる一方だった。が、たった1回だけの懸垂を何度も何度も繰り返し、どうにか100回に到達するまで、彼はその場を離れさせてくれなかった。
どれだけ時間を費やしただろう、すでに両腕の感覚もなくなっていた。だが、自分でも100回というハードルを越えられるということを知った。彼が教えてくれたのだ。
つまり、自分の限界を超える唯一の手段はこれなのだ。そう私は教えられた気がした。自分が勝手に決めつけている限界の先へと、ネイビーシールズの男は私を連れ出してくれたのだ。
自らの強い意思さえあれば、限界を突き抜けるパワーが予備タンクには残されている。これまでの私は、そのことに気付かないフリをしたり、使い方が分からないだけだったのだ。これは、私にとって大きな教訓となった。
潜在能力を引き出す意志
“40%の壁”を突き破れ!
もうひとつ特殊部隊の青年から教わったことがある。「もう限界だ…」と心の声が聞こえた時は、まだ潜在能力のわずか"40%"しか出せていないということ。多くの人がここで諦めるはずだ。しかし、"この40%からが勝負!"。それが彼のモットーだった。
このルールを自分のものにすることは容易なことではない。だが、そこに気づいてチャレンジしていくことは、毎日の生活の中で、不快なことを快適に変えていくための手段でもある、そう彼は教えてくれた。
たとえばマラソンを例に考えてみよう。ほとんどの人が25〜30kmすぎに壁を迎える。アメリカのマラソンランナーの実に99%がこの壁に突き当たり、乗り越えることができずにそこでリタイアしていく人々も多い。では、残りの50%、60%の潜在能力をどこから引き出してくればいいのか?
「ここまで良くやった」「もう頑張らなくていい」脳がそう語りかけてくるだろう。でも、あなたの意志はどうだろう?「フィニッシュラインはまだ先だ!」とちゃんと理解できているに違いない。
誰もがこの意志を潜在的にもっている。これは、年に1回参加するかしないかのマラソンを例えた話ではない。私たちの日常生活の中で、40%の壁をどう打ち破っていくか?その努力が必要だということだ。
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