「訪問しない、足で稼がない」。トップセールスマンが教える営業方法とは?

いわゆる「飛び込み営業」と呼ばれるアポなし訪問。ひと昔前だと主流だったこのスタイルも、最近ではあまり通用しなくなっています。それに代わって私が考案したのが「営業レター」。爆発的に成果が出せる方法を紹介しましょう。

訪問恐怖症を
気にすることはない

ハッキリ言いますが、訪問恐怖症を克服する必要はありません。どんなベテラン営業マンだって、初めてのお客様と向き合うときは、それなりに緊張し、考えてしまうものです。それを「克服しなくては」と考え始めると、だんだん変な方向に行きかねません。心のどこかで「自分は悪いことをしている」というイメージが蓄積されていきます。そうではなく、訪問がダメならそのほかの手段(手紙やメールでできないか?)を考えたほうがいい結果につながるのです。

40代以下のお客様への
アポなし訪問はやめるべき

私は入社後の新人研修で、「1回、2回の訪問で相手にされないのは当たり前だ。それを3回、4回、5回と顔を出すことで本音を話してもらえるんだよ」と言われました。「営業=アポなし訪問」と教えられた私は、それを疑うこともなく実行していたわけです。お客様の心持ちを1ミリも考えず、自分の営業の都合しか考えない行動では、結果が出るはずもありません。

とはいえ、定年退職されて家で時間がありそうな方に「近くまで来ましたので、新しい資料をお持ちしました」というように、話し相手として歓迎されるケースもあります。

原則として、40代以下のお客様へのアポなし訪問はマイナスになる可能性があります。日頃からネットでいろんな情報に接していて警戒心も強く、プライベートなことを大切にする世代です。「怖い」「非常識」「強引」といった負のイメージが強くなります。

「営業=足で稼ぐ」ことではない

私が7年間のダメ営業マンから抜け出し、No.1営業になれたのは「訪問しない、足で稼がない」営業方法です。

きっかけは、自分自身の家を建てた経験でした。そのときに役立ったのが、既に家を建てた人のクレームや失敗談。それを参考に「お役立ち情報」として編集して、簡単なあいさつ文と組み合わせ"営業レター"としてお客様に送り始めました。すると不思議なことに、これまで実感したことがないような「いいことをしている」感覚が生まれてきたのです。

それまでどんなにがんばってもアポが取れず、取れたとしてもまともな商談にもならなかったものが、お客様のほうから「この内容についてもっと知りたい」「直接、話を聞かせてほしい」と連絡してもらえるように。これは「営業=足で稼ぐ」と信じ込んでいた私には、驚くような出来事でした。

営業成績がグンと伸びる!?
最強ツールは"営業レター"

"営業レター"の一番の長所は、「これからのお客様」に対して、決して嫌な思いをさせることなく、しかも自然に興味を持っていただけるようにアプローチできる点です。また手紙ですからお客様と会話することもありません。

お客様がその商品に関して知りたいけれど、直接営業マンに来てもらってまでは聞きにくいと感じていたことを「レター形式」で伝えることで、「いきなり営業されるのでは?」という警戒心を解いてもらうのです。商品やサービスの購入の前に気になること、確かめたいこと、疑問に思っていることなどを「お役立ち情報」で取り上げていくのです。

1.「問題点」と「解決策」に分ける

まだ商品やサービスの具体的な検討をする前の状態のお客様ですから、ここではセールスメリットを訴えるのではなく、お客様の視点からの「気になること」を実際のクレームや失敗例をもとに伝えるのです。具体的に、どうすれば気になることが解消できるのか、失敗を避けられるのかという「解決策」も必ずセットで情報提供してください。

2.お客様が3秒で理解できるようにしておく

お客様が営業レターに興味を示す時間は3秒しかないという前提で情報提供しなければいけません。「たった3秒しかないの?」と思われそうですが、皆さんの家に届くDM(ダイレクトメール)を思い出してください。そのままゴミ箱に捨てられる場合がほとんどではないでしょうか。"3秒ルール"を守りましょう。

3.顔写真を載せる

営業レターを送るときに顔写真は非常に重要。有るのと無いのとでは、まったく印象が違ってきます。ただ、私服ではなくワイシャツやスーツのほうが好印象です。余計な背景のないところで撮った、堅苦しくない程度にすっきりした印象の顔写真にしたほうがいいでしょう。

4.人柄が伝わる一文を入れる

営業レターで「株式会社○○の菊原です」と名乗っただけのものを4回送ったとしても「ただの営業マン」としか伝わりません。ベストは、1 行だけ自分のことを伝える文章を入れること。どんなに忙しいお客様でも1行なら付き合ってくれます。たとえば、「気が付けば仕事のことを考えている山田です」「最近、朝ランを始めた山田です」など、趣味や家族、仕事への取り組み方について、何か1行があるだけで、この人なら相談してもいいかなと思えるのです。

これからの営業に会話はいらない
コンテンツ提供元:ワニブックス

菊原智明/Tomoaki Kikuhara

営業サポート・コンサルティング㈱代表取締役。工学部機械科卒業後トヨタホームに入社し、営業の世界へ。7年もの間クビ寸前の苦しい時期を過ごしたが、営業訪問を「営業レター」に変えたことをきっかけに、4年連続トップの営業マンに。2006年に独立。現在、上場企業への研修、コンサルティング業務、経営者や営業マン向けのセミナーを行っている。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。