コーヒー、ビールが飲めて、友達もできる!海外で話題の「コインランドリー」が日本にもやってくる?
もう、ありきたりなランドリーはいらない。こう断言するのも、いま世界規模で洗濯をするための空間が、新たなコミュニティスペースへと変わろうとしているからです。
洗濯機を回しているあいだ、スマホの画面をただぼんやり眺めて時間をつぶしたり、家に戻って仕上がりを待つ、というのは従来の選択肢。世のトレンドは、ドリップしたてのコーヒーを楽しみ、無料Wi-Fiで仕事の続きができ、クラフトビールを手に友だちと語り合える空間。洗濯目的でなかったとしても、そこは“行きたくなる場所”なのです。
そんな複合型ランドリーの草分け的存在「The Landromat Cafe」が、近く大阪に出店予定という話も。ハイブリッド・コインランドリー元年が、間違いなく日本にもやってくる!
新しいランドリーは、
コミュニティの場です
欧米を中心にここ数年でカフェやバーの機能を備えたランドリーが急増中ですが、こうしたスタイルを黎明期から支え続けていたのが、コペンハーゲンを中心に計4店を展開する「The Landromat Cafe」。
写真だけでは、これがランドリーだなんて想像もつかないでしょう。けれど赤を基調とした店内には、こちらも真っ赤にコーティングされたドラム式洗濯機が、このとおり。
くつろぎの空間づくり洗濯目的でなくてもOK
洗濯の待ち時間を少しでも快適にするためには……、
①カフェが併設されていること
②インターネットが自由に使えること
③読みたい本がしっかり揃っていること
④地域の人々が集いたいと思える社交の場であること
それら全ての要素を追加していった結果が、このThe Landromat Cafeでした。人気が出ないはずがありませんよね。誰だってあの待ち時間にヒマを持て余していたわけですから。重要なのは「洗濯する場」に固執せず、洗濯もできる「コミュニティ空間」であること。この発想はいま、多くの国で共通認識になろうとしています。
いやが上にも期待せずにはいられない大阪出店。The Landromat Cafeは公式サイトを通じて、「2016年〜17年となる可能性が非常に高い」、という思わせぶりな表記にとどめ、いまだ詳細なエリア等は伏せたまま。
ハイブリッド・ランドリーが
世界同時多発的に増加中
ところで、ラウンジとしての要素をかけ合せることで、これまでになかった価値を生み出す“ハイブリッド・ランドリー”は、ここ数年で同時多発的に各地で増えているんですよ。ここでは、個性的な3件を紹介していきましょう。
Spin
(ポートランド)
ポートランドには、環境に配慮した都市型のランドリーがあります。たとえばエネルギー効率が良く、二酸化炭素排出量が少ない洗濯機が揃っていたり、自然素材で無香料の衣類用洗剤を無料で配布したり。さすがは、全米で最も人と環境にやさしいといわれる町。
この地でソーシャルラウンジとしての機能を果たしているのが、「Spin Laundry Lounge(Spin)」です。
充実したラウンジエリアは、地域のコミュニティスペースとしてワークしています。テーブル席が中心の1F、吹き抜けの2Fはソファでゆったりくつろげる仕様に。無料Wi-Fiを使って、ここで仕事するノマドワーカーも多いそうです。
また、カフェではオリジナルブレンドのコーヒーや、地元産クラフトビールが楽しめるばかりか、地域農家から届いた有機野菜を使ったパニーニなど、フードメニューも人気。22時から午前0時の利用客が減る時間帯にあえてハッピーアワーを設けることで、洗濯をしない人たちでも気軽に訪れる工夫がナイス。週末夜にはライブイベントも開催されるんだとか。
Wasbar
(アントワープ)
アントワープ市内にある「Wasbar」も、やはり複合型施設として機能しています。ほぼカフェ、でも壁際に並ぶ洗濯機はディスプレイでもなんでもありません。もちろん本物、グルングルンここで回るんです。
その間に食事を楽しんだり、逆に待ち合わせの場所に使ったり、ランチだけしに来る人も多いそうで、人気はベールグサンドのランチプレート。
栓抜きと洗濯バサミを組み合わせた店のロゴもGOOD。手前のテーブルには、アンティークアイロン。随所にランドリー感を引き立たせる演出が上手。月に数回ワークショップも開催されるそうです。
Laundry Project(ソウル)
ソウルに暮らす人でさえ、「Laundry Project」で洗濯ができることを、知らないの人も少なくないそうです。なぜなら店の外からでは、ほぼ洗濯機を目にすることができないから。「washing room」は店のいちばん奥にありました。
ガラス窓で隔てられているため特有の動作音もシャットアウトできるため、ゆったりラウンジ気分を満喫できるそうですよ。
まっさらなリネンをイメージした店内は、白で統一。この白壁を利用して、イラストレーターや写真家の作品を展示することも。ギャラリーとしても機能するLaundry Projectは、まだガイドブックにも載っていない最旬スポットなのです。
そもそも洗濯をする、という唯一の目的のためのみに訪れる場所だったはずのランドリー。それが付加価値を付け加えることで、確実にいま地域コミュニティのひとつになろうとしています。もちろん、その流れは日本にも。
厚生労働省の調査(2013年度)によると、コインランドリーは過去10年間で約4,000店舗増。共働き世代が「まとめ洗い」に、自宅の洗濯機よりも大きいランドリーを使用する背景が増加の背景にあるようです。ランドリーのIT化も進み、空き状況や終了通知をウェブ上で確認できるIoTの波も。
スキマ時間をどう楽しむか、から家事もひとつの楽しみとして、へ。「ついでに洗濯もできる」な時代は、もうすぐそこまで来ています。