男同士で旅するなら「ここ」がいい
今、宮崎に男たちが集まってきている。宮崎の自然や文化や人が、東京にも九州の他の都市にもないスタイルを作り上げているのだ。
ブームとか一時的な熱狂じゃない。だから、テレビや雑誌で特集が組まれるような、わかりやすいかたちで、そのスタイルはなかなか見えてこない。
ここでは、彼の地に暮らす男たちと一緒に撮影旅行をしながら、その魅力を探っていきたい。
写真を通じて、“宮崎スタイル”の一端が垣間見えるはずだ。
観光スポットだけじゃない日常の風景が、そのまま魅力的
宮崎市街地から海岸沿いに少し南下すると、青島と呼ばれるエリア。古くからの観光地だから、名前を知っている人も多いかもしれない。
国道には、フェニックスの街路樹が並ぶ。ちょっとカリフォルニアのようで、でも視界には田んぼがあって、ここが日本の南国、宮崎だ。
青島には海しかない? それは一昨年までの話だ。
「青島ビーチパーク」は、5つのコンテナショップからなる。2015年にオープンしたここは、宮崎の新しいライフスタイルの発信地になっている。
海のある暮らしーーアクティビティだけじゃなくて、日常風景のなかに海があるライフスタイルがここでは体験できる。
張り巡らされたフラッグ、古材をいかしたテーブル、そして、太陽の光。ちょっと遊び心のある写真を撮りたくなる、素敵な光景だ。
5つあるショップはどれも魅力的だが(うち1軒は、なんとアパレルだ)、ピザ屋『DOUBLE』のレインボーシェイブアイスは、夏にぴったりな逸品。
自分を見つめ直す……そんな時間が似合うスポットへ
男の旅は、必ずしも観光が目的じゃない。自分を見つめ直すという時間が大事だったりする。普段はなかなかそんな時間は取れないが、旅先でならできる。
「青島ビーチパーク」から徒歩約10分。弥生橋を渡ると青島神社がある。
波音が聞こえるビーチとはまた違った、時間が止まったような空気感。
鳥居と樹齢350年を超えるという亜熱帯植物のトンネルを抜けると、赤い社殿が姿を現す。
縁結びのパワースポットとして知られる場所だが、荘厳な雰囲気のなかを歩きながら、物思いにふけるのにぴったりだ。
元宮にあるビロウの木には、おみくじではなく、願掛けでコヨリを結びつける。
このカラフルなコヨリが、また南国らしくて、とても絵になる。
青島神社の雰囲気が気に入ったなら、少し足を伸ばして、双石山(ぼろいしやま)へ行くのもおすすめだ。
青島から車で内陸へ約30分。双石山ではちょっぴりエキサイティングなトレッキングと撮影が楽しめる。
俗に山岳の景勝地といえば、抜けのある風景だが、双石山の魅力は奇岩と苔。山道を歩くというよりも、岩の階段を登るという表現がしっくりくる。
大きな岩に囲まれながら、歩を進めていくと、不思議と思考がクリアになってくる。スポーツジムでの運動で得られるリフレッシュとはまた違う、自然の中ならではの感覚だ。
湿った苔の深い緑。
シャッターを切りながら、緑のコントラストを楽しんでいると、意外なほど涼しいことに気づく。岩場によっては体感値でマイナス10℃ぐらいか。
ひんやりとそれを感じる心地よい一瞬、それこそ自分を見つめ直す時間だ。
悔しいけれど、またやりたい
宮崎に惹かれる男たちのなかには、サーファーが少なくない。宮崎市内だけでも、多くのサーフスポットがあり、国道からその姿を眺めることができる。
そう、ここではサーフィンは特別な趣味でもなんでもなく、カルチャーとして根付いている。とすれば、トライしない手はないだろう。
うまく乗れなくても大丈夫。宮崎滞在中、いくらでも波に乗る機会は作れるはずだ。
写真は宮崎市内のビーチ。
サーフカルチャーが根付いているからといって、海が混み合っているわけじゃない。こんなフォトジェニックで、いい波のあるスポットがいくらでもある。
日本一の食材を味わい尽くす
生産者が「うちのが日本一」と言うのは当然だ。でも、宮崎ではそこで暮らす人たちも「宮崎の食が日本一」だと言う。
本当に日本一かどうかなんてことは問題じゃない。そんなプライドが感じられるほど、旨いものが多いというシンプルな話。
宮崎、食という二つのキーワードで、パクチーを想像する人は、まあいないだろう。でも、近い将来、宮崎といえば「パクチー!」となるかもしれない。
国富町の「コオリファーム」では、宮崎名物のピーマンと一緒に、パクチーも育てられている。パクチーに対して、濃厚な味という表現を使うことになるとは! それほど力強い味と香り。
すでに宮崎牛は全国的なブランドだが、現地で聞くと「有田牛が旨い」と言う。
焼き肉屋「若藤」は、宮崎産の食材にこだわるお店。
鮮度が伺える赤みと美しい“さし”。口にしてみて、なるほど「日本一」と言いたくもなる。
酒が好きなら、焼酎を飲み比べてみるのも一興だ。
どこの飲み屋でも、薦められる焼酎が違う。
写真は特別に見学させてくれた「渡邊酒造場」の蔵。芋の栽培から蒸留・瓶詰めまで行っている。こういった酒蔵が、県内に点在している。イチオシがたくさんあるわけだ。
帰りたくない……サンセットは、再びビーチで
宮崎で最高のスポットは?
つきなみだけれど、それは夕暮れから夜にかけてのビーチかもしれない。
サンセットを楽しむなら、再び「青島ビーチパーク」へ。
青い空と海もいいけれど、男が惹かれるのは、こんなセンチメンタルな風景だったりもする。
それは誰もがシャッターを切る瞬間ーー波と戯れる人たちのシルエットと一緒に、海に太陽が沈む様を眺める、至福の時間。
偶然、この日は満月。パークでは、ムーンライトヨガに興じる人たちがいた。こういったイベント事が、不定期に開催されている。
夜は街の居酒屋に繰り出す前に、ビーチで一杯。
いつもは夜7時までの営業の「青島ビーチパーク」も、土曜・祝前日は夜9時まで営業していて、地元の人たちの交流の場にもなっている。
こういった風景が、当たり前にある。それだけで、観光地としてではなく、文化やスタイルのある場所として宮崎が定着してきていることが実感できる。
男の旅に連れていきたいカメラ
家族やカップルでの旅行と、男だけで旅をするのは全然違う。観光スポットをまわるよりも、もっと一箇所にじっくり腰を据えて、その土地を堪能するほうが気分にあう。
写真も同じ。何かを狙って撮るというよりも、もっと気まぐれにシャッターを押す。
だから、カメラは軽量がいい。当然、機能も諦めない。コンパクトながらも本格的な写真が楽しめるミラーレスカメラ『EOS M3』なら、それが叶う。
ここで紹介した写真は、すべて『EOS M3』で撮影したもの。“抜け感”のある自然から、瑞々しい食材の細部まで、宮崎ならではの景色を余すところなく写すことができた。
旅のカメラの選択肢は無数にあるけれど、男の旅なら『EOS M3』は最適だ。
撮影協力:宮崎市役所、キャンバス