「どうぞご自由に!」米ローカルコミュニティに広がる「やさしさの小箱」
公共福祉のための寄付や、チャリティーの精神が浸透しているアメリカで、新たにこんなすてきなコミュニティサービスがスタートしました。もちろん、すべてが市民レベル。
アーカンソー州の小さな町で始まった心温まる取り組みに、いま全米が注目しています。
必要とする誰かのために“おすそ分け”を詰める小箱
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アメリカのあるNPO団体が始めた「Little Free Libraries(小さな無料図書館)」が、大きなムーブメントとなった2016年5月。あのアイデアをそっくりそのまま引用し、生活用品や食料をシェアすることで、地元コミュニティで還元しあうシステムをつくった人物がいます。
小さな田舎町ファイエットビルで、「隣人を支え合うのは隣人」をモットーに、助け合いの小箱を始めたJessica Mcclardさん。あの無料図書館にインスパイアされたと言うように、ネーミングもそのまま「Little Free Pantry(小さな無料パントリー)」。
アイデアをかたちにするため、まずはクラウドファンディングで出資者を募り、250ドル(約25,000円)が彼女の元に集まりました。早速DIYして1つめの小箱が完成。Jessicaさんはそこに、自宅で余っていた洗面用品や手を付けずにいた食料品などを詰め、こう記したそうです。
Take What You Need , Leave What You Can.(欲しいものがある人はどうぞ取っていって。その代わり、いらなくなったものは誰かのために置いていきましょう)。
小さな子どもでも理解できる単純明快なコンセプト。これがLittle Free Pantryの精神です。そこに近隣の住民たちが賛同し、小さな町に次々と小箱が増えていきました。
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買ったものの、結局一度も封を開けなかった日用品、衣類、オムツ、さらには缶詰をはじめ飲料水まで。さながら本物のパントリーのようにあらゆるものが詰まった小箱。これがスッカラカンにならないっていうのが不思議。数は減れど、つねに誰かが何かを補充してくれる。もちろん、すべて必要とする誰かのために。
こう聞くと、どうしてもホームレス支援のように思いがちですが、必ずしも彼らだけに向けたLittle Free Pantryに非ず。お隣さんやご近所さんたちの物々交換の場として成立しているところに、この地域の人の良さがあるとJessicaさん。
持ちつ持たれつ、お互いを気にかけ、困った人がいれば地域のコミュニティみんなで助け合う。ネットを使えば簡単にドア・トゥー・ドアでなんでもモノが手に入る時代にあって、こうしたローカルのコミュニティが見直されつつあるのも、今の時代なればこそなんでしょうね。
広がり始めた
“おすそ分け”ネットワーク
“おすそ分け”ネットワーク
ところで、小さな町から始まったやさしいおすそ分けの小箱は、遠く離れたバージニア州でも、誰かのために役立っているようです。
「KTVU.com」が伝えるところによれば、ワシントンD.Cに近いリーズバーグで、7歳の男の子が父親に作ってもらった小箱を自宅前に設置。近隣のホームレスのために食料や地域住民から集めた衣類を詰めて、管理を始めたとして取材陣が殺到。
「いらないものが集まって必要としている人に届くんだから、みんながハッピーになれるんだ。そうしてまた、誰かがものを補充してくれるでしょ、これがずっと続くんだから。みんなもマネして町中にできればいいと思わない?」。
と誇らしげにインタビューに応えるAlex Martinezくん。物々交換されていく自慢の小箱を、毎日覗くのがもっかの楽しみなんだそうですよ。