21世紀を生き抜くひとつの方法。「自分だけの人生の旅」をつくる
「強烈な原体験」は人を支え、人生を正しくデザインしてくれる。自分の内なる原体験を軸にしている人は、さまざまな制約から「自由になれて、シンプルに生きられる」。旅とは、誰にでも「半強制的に、原体験を得られる便利な方法」なんだ。
これは、執筆家の四角大輔氏が、著書『The Journey 自分の生き方をつくる原体験の旅』のはじまりで伝えているメッセージです。旅に出ることで、本当に人生は変わるのでしょうか？
そう思い、悩み、苦しみ、一歩が踏み出せない人もいるかもしれません。でも安心してください。ここから紹介するのは、誰もが持っているはずの「原体験」の話です。四角氏の言葉を借りながら、人生と旅について想いを馳せてみましょう。
一生忘れない旅を君はしたことはあるだろうか？
「ある」と答えた人はきっと、この先の人生は大丈夫なはず。
「ない」と答えた人には、「絶対にそんなことはないはずだよ」とやさしく反論したい。
ぼくの人生をデザインしてくれたのは「原体験としての旅」だった
今ぼくは46歳（2016年現在）。ニュージーランドにある、原生林の湧き水がつくり出した湖の畔でこの原稿を書いている。ここは、35年近い年月の「旅」の果てに見つけ出した人生の目的地。
この湖で営む半自給自足“森の生活”をベースにしながら、何日もかけて徒歩旅行で大自然の奥へ入っていく“冒険生活”と、世界中の都市を駆け巡る“移動生活”を送っている。足、カヤック、自転車などの人力移動、車、列車、船、飛行機と、年の半分近くを多種多様な「旅」に充て、毎年、地球を4〜5周していることになる。
この「自分だけの生き方」は、7度のミリオンヒット、20回のオリコン1位を記録した、大手レコード会社プロデューサーの地位と年収を手放したことで、手に入れることのできた「新しい旅」でもあるんだ。
こんなぶっ飛んだ人生を、ちゃんとプランニングしてきたかって？
今、目の前に広がるこの湖に出会うための長い旅に導き、我が人生を無意識にデザインしてくれていたのは「原体験としての旅」だった。
目をつぶれば今でも鮮明に思い出す、圧倒的なワクワク感
これまでも、今も、ぼくの人生はつねにエキサイティングだ。
でも、目をつぶれば今でも鮮明に思い出せるのは、小学生の時に自転車で通ったある湖のそばにいるときの言葉にできない、圧倒的なワクワク感。そして未だ、それよりも衝撃的な体験はない。小学校時代、家からふたつほど峠を越えた先の山の上にある森に囲まれた小さな湖へ、毎週2時間近くかけて自転車で通った旅。
ぼくは幼少期から、何をしているよりも水際で遊ぶことが大好きだった。そして、釣り竿を持っていれば1日ずっと水際にいても、だれにも咎められない。
太陽のリズムで暮らし、オーガニック菜園と果樹園と向き合い、好きなときに釣りをする。地球とシンクロしながら生きる、この湖畔の森の生活は、ぼくにとっては心と体が安定する完璧なホーム。
この“最強基地”があるからこそ、毎年、世界10ヶ国以上をまわりながら地球規模での表現活動を続けたり、ビジネスやプロジェクトを仲間と自由にプロデュースする、という「新しい人生の旅」に突入できたのだ。
旅に出て、本当に“人生は変わる”のか？
強烈な原体験は人を支え、“半自動的”に人生を正しくデザインしてくれる。
原体験を軸にして、人生の旅ができる人は、無意味な世間体や同調圧力から自分を解放でき、シンプルに生きられる。
人に説明できる理由なんていらない。言葉にできる衝動なんて本物じゃない。ただただ直感を信じよう。
だけど、ただ旅に出るだけじゃ、生き方なんて絶対に変わらない。
旅は、人生の最良のウォーミングアップにすぎない。君の生き方をつくるのは、旅から帰ってきたあとの深い思索、そして行動だ。旅の体験をどう受け止め、どう解釈するか。そこで得たことを、そのあとの生き方にどうやって反映させてゆくか、ということに尽きるんだ。
もう、世の中の動きに自分を合わせて生きる必要なんてない
いま、日本はカオス化し、これまでの「当たり前」や「成功体験」がまったく通用しなくなってしまった。
前時代的な生き方をしていると、無慈悲なマネー至上経済に振り回され、すでに機能していない古いルールに縛られ、愛のない組織や他人からのプレッシャーに屈し続けるリスクが、さらに高まることになる。
だから、これからは、人生は自分の手でつくらないといけない。そして、何にもだれにも束縛されない、“究極の自由”と“真の独立”を獲得すべく、自分だけの生き方を掴むために「本物のサバイバル能力」を身につけるんだ。
学歴や肩書きが一切通用しない、古いレールが崩壊した「今」を行く抜くためには、旅こそが“最高の学校”になるだろう。
