イギー・ポップが21歳のファンに送った、力強い「1通の手紙」

これは、アメリカのパンクロックスター、イギー・ポップが彼のファンである21歳のローレンスへ送ったファンレターの返事。イギーは普段から義理に厚く、人情深いキャラクターで周囲の人から愛されていました。

そんな彼が、人生に悩めるファンに宛てた手紙を、ショーン・アッシャーさん編集の『注目すべき125通の手紙 その時代に生きた人々の記憶』からご紹介。

ファンに送った
力強いロックスターのことば

親愛なるローレンス

 

ゴージャスでチャーミングな手紙をありがとう。おかげでどんよりとしたぼくの人生が明るくなったよ。あのすごい手紙はもちろん全部読んだ。黒いワンピースに白い靴下を合わせたきみを見てみたい。でも、深呼吸して、生き延びるために必要なことをし、愛情を注げる何かを見つける、そんなきみを何より見てみたい。手紙を読んできみがすごく賢く心の豊かな子だとわかった。

(遅ればせながら)21歳の誕生日、おめでとう。元気を出すんだよ。ぼくも21歳の誕生日はみじめで必死に闘っていた。ステージではブーイングを受け、人の家に居候し、おびえていた。あれから長い道のりを歩んできたが、つらいことは生きている限りある。

それからきみの言う「心にぽっかり穴があいた」っていうのはぼくも同じだよ。ぼくたちが人生にどんなストーリーを作っていこうと、そういう穴は必ず存在するんだ。だからめげずに、強く大きくなって前進し続けよう。


本当に美しい人にありったけの愛を贈る。


きみのことだよ、ローレンス。


イギー・ポップ

イギーからの手紙が
生きる希望に

21歳のローレンスが書いたファンレターは便箋20枚にも及ぶ超大作で、内容にはローレンスの親が離婚でもめていて上手くいっておらず、不安なこと、悲しいこと、ストレス、そして愛について書かれていました。

この返事の手紙は短いですが、悩めるローレンスにとってはとても励ましになったといいます。しかもローレンスの家は管財人によって立ち退きを迫られていて、まさに出て行かなくてはいけない日の朝に、この手紙が届いたのです。

人生の一番辛い時期を送っているローレンスに対する思いやりを感じることができ、前向きに生きるべき、というアドバイスを与えたイギーの手紙は、彼女の人生を救うことになったのかもしれません。

Top Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。